京都で一番古い建物は、どれですか?との質問に答えられる人は少ないように思います。
答は醍醐寺の五重塔となります。平安時代中期建立の京都府最古の建築物です。京都は、「応仁の乱」や江戸時代の大火で多く建物が失われました。醍醐寺も五重塔以外を「応仁の乱」で失い荒廃します。また、塔は建物自体の高さもあり、頂部に「相輪」と呼ばれる大きな装飾が金属製であることから、雷を誘引しやすく、また盆地である京都は、雨雲が留まる性質であるため、多くの塔が落雷で失われています。京都駅から見える「東寺」の五重塔は、4度の落雷にあっていますので、醍醐寺の塔は「奇跡の塔」ともいえます。
私は、日本建築の造形的な美しさは、塔だと考えています。
中国や朝鮮半島の塔とは、プロポーションも屋根の軒の出の深さも違います。
日本の気候は、雨が多いため、大きく軒を出す必要があり、屋根を支える組み物などの技術が発展し、その機能が建築の芸術性に繋がり、日本の風土と建築の関係性が美しく表されています。
「応仁の乱」で荒廃した醍醐寺は、豊臣秀吉と秀頼、二代にわたり支援が行われ復興されました。また、秀吉の亡くなる5カ月前「醍醐の花見」を行ったとエピソードが残っています。
参加者は、豊臣家の一族と徳川家康などの家臣総勢約1300人と大規模な花見で、近畿から700本の桜を集めて一週間で植えたと言われています。
私は、五重塔を観ながら当時の豊臣秀吉と同じ景色を見ているのだろうか、と古に思いを馳せました。
春の醍醐寺は、観光客の賑わいと、うららかな雰囲気で和やかでした。
桜とともに夕日に照らされた五重塔は、息をのむほどに美しく、心を奪われました。
京都府最古の建築物「奇跡の塔」を観に、一度お参りにいってみてください。夕暮れ時がお薦めです。


















