秋晴れの穏やかな日に、
『囲い庭の家』の上棟式がとり行われました。
今まで設計図の紙の上や模型で考えていたことが、
いよいよ形となって現れる瞬間です。
早朝より柱や梁が手順よく組み立てられ、
瞬く間に、家の形なっていくさまに、感動や高揚感を感じます。
建て主の娘さんも「私の部屋はどこ? うんていはつく?」と、
とても嬉しそうでした。
夕方には、無事に棟も上がり、上棟式が行われました。
やわらかな夕日が差し込む、美しい式典となりました。
工事を担当していただいた現場監督さんをはじめ、大工の皆さん、
長い時間、ありがとうございました。
祭壇に、工事の安全と、無事に建物が完成することを願って、お祈りをします
『囲い庭の家』の化粧構造材の材料検査に、
現場監督さん、大工さんと一緒に、プレカット工場に行ってきました。
まずは、柱の含水量を測定し、検品します。
その後、一本一本、節の位置や木目、木の性格を見極めながら、
図面に合わせて、柱の配置を決めていきます。
大変な作業でしたが、
帰りには、瀬戸内の美しい夕日を見ることができました。
『囲い庭の家』の配筋検査に行ってきました。
丁寧に編まれた鉄筋は、精度が高く、
とてもきれいな仕上がりとなっていました。
配筋検査が無事終了すると、
いよいよコンクリートの打設が始まります。
いい基礎ができそうで、完成が楽しみです。
師である横内敏人先生から
素敵な作品集を贈っていただきました。
今回の作品集は、「庭と建築」をテーマにまとめられ、
あとがきには、これまでの人生のあゆみや、出会いなども綴られており、
本作品集は、横内先生そのもののように感じました。
「庭と建物」が一体的に切りとられた写真はどれも美しく、
写真から伝わる、木々の青さや匂いとともに、風を感じ、
ゆったりとした時間の流れを感じます。
庭と建築とを一体的に設計することで生まれる豊かな環境は、
日本人の心の奥深くにある意識に、やさしく語り掛けるようです。
コロナ禍の今、
ライフスタイルや家に対する価値観は大きく変化しています。
そんな中、庭と建築をテーマにした作品集ができたことは、
何か不思議な縁を感じます。
書店にお出かけの際は、手にとって、感じていただけたらと思います。
『囲い庭の家』の地鎮祭に行ってきました。
「地鎮祭」は、家の工事に先立ち、
その土地の神様に、その土地を使用するお許しをいただき、
工事中の安全と、完成した家の繁栄を願うための儀式です。
その起源は古く、「日本書記」にも記述が残っているのだとか、、。
当日はあいにくの雨模様でしたが、
建て主ご家族の笑顔がこぼれる素敵な一日となりました。
「家づくり」も大きな節目を迎え、いよいよ着工です。
今から春の竣工が楽しみです。
設計者が「鎌」、施主が「鍬」、施工者が「鍬」を手に持ち、順に盛砂に作業する仕草をします
玉串拝礼:参列者が順番に玉串を捧げ、お祈りをします
工務店さんの資材工場には、時間をかけて自然乾燥された木材が、大量にストックされています
琵琶湖の南西、比叡山の麓に位置する『円城寺』に行ってきました。
『園城寺』は一般的に『三井寺』の名で、
古い歴史と文化財、また、数多くの伝説が残る寺として知られています。
「一切経堂」と呼ばれる禅宗様のお堂の中央には、
経典が納められた回転式の「八角輪蔵」があります。
暗がりの室内に足を踏み入れた瞬間、
あまりの巨大さと、おびただしい数の箱に、
一瞬、これは何だろう、、。と戸惑いながら、
寂びた柱や梁が、仏教の歴史深さと尊さを語りかけているようでした。。
今回もう一つ見学したかった「光浄院客殿」は、
残念ながら、特別拝観を中止されているので、
また、あらためて伺いたいと思います。
『上越 春日山の家』の打ち合わせに、
新潟・上越高田に行ってきました。
今回の打ち合わせは、
作成した1/100模型を実際の建築予定地に持っていきました。
窓から見える景色なども確認しながら進めることができるので、
実際に暮らし始めたときのイメージがしやすく、
充実した打ち合わせとなりました。
打ち合わせの終わりには、
またまた美味しい新潟の海の幸をご馳走になり、
お腹も充実した、しあわせな夜になりました。
作成した模型の写真は近日、WORKSにてUPする予定ですので、
よろしければ、またご覧ください。
鯛やハマチなど、今回も美味しいお刺身をたくさんいただきました
学生の頃から好きだった、清家清の代表作のひとつ
『豊雲記念館』のある『盛花記念センター』が、
この春、閉館されると聞き、閉館記念展に行ってきました。
『豊雲記念館』には、
華道小原流の三世家元である小原豊雲の再現作品とともに、
小原豊雲の美術コレクションが展示されています。
山の傾斜地を利用した広い敷地内には、
『豊雲会館』のほか、『旧家元会館』、『盛花記念館』など
小原流の建築が点在しています。
どの建物も傾斜のある敷地と一体化しながらも、それぞれに存在感があり、
それでいて、全体が絶妙なバランスでデザインされていて、
空間にもたつきや、よどみがありません。
なにより、小原豊雲の理想にどこまでもこたえようとした
建築家の思いが伝わってきます。
なにか、建築家が目指すひとつの答えを教えてもらったような、、
そんな気がしました。
「華道家・小原豊雲」と「建築家・清家清」という
二人の奇才だからこそ生まれた、
唯一無二のこの世界がなくなってしまうのは、なんとも惜しい。
昭和の名建築がまたひとつ消えていくことが、本当に残念でなりません。
今はただ、何かのかたちで、
この作品がこれからも存在してくれることを、願うばかりです。
山の傾斜に埋もれるようにつくられた『盛花記念館』から屋上庭園を望む
42歳という若さで亡くなられた四世家元・小原夏樹さんのインタビュー記事には、
苦悩しながらも、華道にどこまでも真摯に向かい合う姿勢に、心打たれました
先日、『兄の家』の二年点検に行ってきました。
久々の『兄の家』は、新緑が庭を覆い、
家のなかも、すっかりこの家での生活に落ち着いた様子。
手づくりの薪棚も、一年点検のときから、数を増やし、
子どもたちと一緒に割った薪が、
軒下にたっぷりと積み上げられていました。
薪ストーブが、兄家族にとって、
寒い冬の拠り所になっているのが窺えます。
また、昨年には薪ストーブのメンテナンス講習も受け、
年に一度の煙突掃除も建て主である兄、自ら挑戦するそうです。
便利な世の中で暮らす現代人にとって、
薪ストーブのあるくらしは、決して便利なことばかりとは言えませんが、
火のある暮らしを積極的に楽しみ、
手間をかけることも、家族で愉しんでもらえていることが
嬉しく思います。
軒下に積まれた薪は、風よけになると同時に、北風で薪が良く乾く効果もあります
登呂遺跡に行った際、同じ登呂公園内の一角にある
『芹沢銈介美術館』にも立ち寄りました。
『芹沢銈介美術館』は、別名『石水館』とも呼ばれ、
建築家 白井晟一さんの作品として、「公共建築百選」にも選ばれています。
芹沢銈介という名前を知らずとも、暖簾や本の装丁など、
自然と目に触れていることが多い芹沢銈介の作品。
日本人らしい色づかいやモチーフを用いて、
素朴で実用的であるにもかかわらず、
どこかモダンで、今みても新鮮に映ります。
また、芹沢銈介は染色家としてだけではなく、
優れた工芸品の収集家としても知られ、
館内には芹沢銈介の作品とともに、
収集された工芸品も数多く展示されています。
工芸品の多くは、彼自身が旅先で集めた
アジアをはじめ、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ、オセアニアなど
世界各国の品々。
どの品も芹沢銈介自身が楽しみながら収集し、
いとおしんでいたのが伝わってきます。
鑑賞後には、芹沢銈介の一貫してブレない美意識と、
収集家としての卓越した審美眼に、
同じ郷里であることを誇らしく思いながら、
必ずまた訪れようと思いました。
もともとは宮城県にあった「板倉」を気にいった芹沢銈介が、自邸内に移築改築してつくられた
先日、横内敏人建築設計事務所の先輩である吉川史子さんから
素敵な本を贈っていただきました。
著者は、吉川史子さんをはじめとする、
現在も子育てをしながら、建築を仕事にされている男女16名。
私自身も、子育てをしながら建築の仕事をしている身なので、
著者の皆さんが、苦労や工夫を重ねながら、
日々過ごされている様子に、反省や共感を覚えつつ、
「明日もがんばってみようかな、、」とちょっと元気をもらいました。
子育てしながら、仕事をされている方はもちろんですが、
これから結婚や子育てをされる方や
建築の道にすすもうとしている方にとっても、
リアルな将来を思い描きながら、それを乗り越えるためのヒントが
たくさん散りばめられている一冊だと思います。
書店にお出かけの際は、手に取っていただけたらと思います。
「豊田町の家」のインテリア模型に、新たに階段を追加し、
天井の異なる4パターンの模型を作成しました。
天井が与える影響はとても大きく、部屋の雰囲気も変わってくるので、
検討を重ねながら、進めていきます。
今回は階段が隣接しているので、階段室から入る光や、
子ども部屋のある2階とのつながりも考えながら、
イメージを膨らませていきます。
1. すべてが水平天井の場合
2. ダイニングのみ勾配天井の場合
3. 台所とダイニングが勾配天井の場合
4. すべてが勾配天井の場合
12月13日発売の「和モダン vol.10」のなかで、
「兄の家 / 中庭で守る家」が掲載されています。
創刊10周年の記念すべき号に、
師である横内敏人先生と同じ号に掲載され、
とても感慨深く、これからの設計活動の原動力となりました。
また、私の大好きな作品の一つである
藤井厚二さんの「聴竹居」をはじめ、
尊敬する建築家の方々の作品も多数掲載されています
書店にお出かけの際は、ぜひご覧ください。
「豊田町の家」のインテリアを検討するため、
スケッチと内観模型を作成しました。
スケッチや模型は時間もかかりますが、
図面だけではわからない、多くのことに気づくこともあり、
大切にしています。
図面 → 模型・スケッチ → 図面 という作業を繰り返しながら、
少しずつ修整や検討を重ね、より上質な室内空間を目指します。
その際、模型やスケッチ中に、
家具や薪ストーブなどを置くことで、
全体のインテリアの雰囲気やボリュームも、つかみやすくなります。
また、打ち合わせの際には、
図面・模型・スケッチをあわせてみていただくことで、
完成のイメージもグッと伝わりやすくなりました。
詳細は後日、WORKSにUPしますので、よろしければご覧ください。
内観模型。手前にあるのは薪ストーブ。
静岡県 住まいの文化賞の表彰式に行ってきました。
今回の表彰式には、建築主である兄をはじめ、
施工を担当いただいたエフ・ベースさん、
構造設計を担当いただいた高橋俊也構造建築研究所の髙橋さんにも
ご参加いただきました。
久しぶりに関係者が一堂に揃い、思い出話に花を咲かせ、
楽しい時間を過ごすことができました。
地元・静岡での受賞に、気持ちも新たに、
これからも真摯に設計に取り組んでいきたいと思います。
関係者の皆さま、ありがとうございました。
8月19日発売の『住宅建築』10月号の特集「佇まいとプロポーション」に
「兄の家 / 中庭で守る家」が掲載されています。
今回の掲載にあたり、改めて撮影していただいたのですが、
竣工して1年が経ち、庭の樹木も一回り大きく育ち、
床や家具も少しずつあめ色に変化し始めていました。
何より、そこに日々の生活が加わり、
暮らしぶりのわかる写真になっています。
書店にお出かけの際は、ぜひご覧ください。
最後に、撮影に協力して下さった施主家族の皆さま、
長い時間、撮影にご協力いただき、ありがとうございました。
竣工して1年が経ち、庭の芝は青々と生えそろい、樹木も一回り大きくなりました
「兄の家」が、雑誌『住宅建築』10月号(8月19日発売)に
掲載されることになりました。
『住宅建築』は、
私が学生時代に建築家を志すきっかけともなった、思い出深い専門誌です。
初めて出会ったのは、日も傾いた学校の図書館でした。
授業で難しい教科書ばかりを見ていたので、
多くの写真と図面が新鮮で、
その中で活躍している建築家の方々が眩しく映りました。
「いつか、こんな素敵な家が設計できたら、、、」と
胸を躍らせたのを今でも憶えています。
今回の掲載を嬉しく思うとともに、
担当していただいた現場監督さんをはじめ、
この作品に携わってくれた方たちが、
掲載を楽しみにしてくれていることが、
何より嬉しく思います。
先日、5年ぶりに新潟に行ってきました。
新潟は、修業時代に「上越高田の家」を担当させていただき、
何度も訪れた、思い出深い場所です。
今回は建て主さんのご厚意で、
「上越高田の家」も見学させていただいたのですが、
建物を見た瞬間、当時の記憶が鮮明によみがえりました。
建て主さんや職人さんたちとの打ち合わせ、
生まれて初めて食べたノドグロや鮫、
特にノドグロの塩焼きの美味しさは今でも忘れられません。
何より、多くの素敵な出会いがあり、
私は、すっかり新潟が好きになってしまいました。
そんな新潟に、こうしてまた訪れることができたこと、
大変嬉しく、幸せに感じています。
北陸新幹線が開通して、新潟がグッと近くなりました
「雑木の手入れ」について、
わかりやすく紹介している本に出会いました。
この本のいいところは、
いわゆる図鑑としての樹種の紹介だけでなく、
剪定などの日頃の手入れの仕方について、
写真やイラストを多く用いて、初心者にもわかりやすく、
丁寧に説明されていることです。
だれでも難しいと思われる、切り落とす枝と残す枝の選び方、
肥料の必要な樹種やあげる時期、害虫駆除の対処方法から
ハサミなどの剪定道具の紹介に至るまで、丁寧に1冊にまとめられています。
維持管理や、剪定の仕方に困っている方だけでなく、
「一本だけ足したいんだけれど、専門家に頼むのも、、、。」
「樹木を植えようと思っているけれど、何がいいかわからない、、。」
と樹種選びに迷われている方にもおすすめです。
ちょっと難しそう、、と思っていた庭づくりを、
きっと身近に感じることのできる一冊だと思います。
「兄の家」も早いもので、
引渡しから一年が経ち、一年点検に行ってきました。
一年点検も、半年点検と同様、お客様立ち合いのもと、
施工を担当していただいたエフ・ベースさんと一緒に、
記録をつけながら、外壁などの外部から、室内の設備機器に至るまで、
一つ一つ丁寧に点検を行います。
それ以外にも、一年生活してみて、
お客様から気になる点などがあれば、合わせて調整を行い、
職人さんが必要な場合には、後日改めて調整に伺います。
一年点検でも、大きな不具合もなく、
快適に過ごされているとのことで、
特に冬場は、真冬でも日中は暖房器具をつけることなく、
過ごされたそうです。
陽が落ちる頃、薪ストーブに火をくべれば、
すぐに家中が暖まり、朝方まで快適とのこと。
さらに、やかんをストーブの上に置き、加湿も兼ねられるうえ、
冬場の乾きにくい洗濯物もカラッと乾くそうで、
想像以上の薪ストーブ効果に、お客様も大満足されていました。
ただ、想像以上に薪ストーブが活躍するので、
たくさんの薪を置ける場所が必要になり、
今回の点検の際に、薪棚のご提案もさせていただきました。
点検後、早速、器用なご主人がホームセンターで単管パイプを購入し、
楽しそうに、簡易の薪棚を作られていました。
薪ストーブのある暮らしを、
家族みんなが楽しまれているのが伝わり、
嬉しく思うと同時に、
火のある暮らしがもたらす恵みの大きさを改めて感じました。
ご主人手作りの簡易の薪棚
『兄の家』こと『中庭で守る家』が、
第1位を受賞いたしました。
審査委員長の講評から、
図面や設計意図を丁寧に汲んでいただけたことが伝わり、
大変嬉しく、これからの設計活動の励みとなりました。
建て主のご家族をはじめ、
工事に携わっていただいた全ての方々に、感謝を伝えると共に、
これからも一生懸命、設計活動に取り組みたいと思います。
毎年恒例となっている吉田神社の「節分祭」に行ってきました。
このお祭りは、室町時代に始まった歴史あるお祭りで、
毎年50万人もの参拝者と、約800店の露店が軒を連ねます。
「厄除けの発祥の杜」としても知られる吉田神社ですが、
八角形の本殿に、後方に六角形の部屋がついた大変珍しい形をしていて、
重要文化財にも指定され、建築物としても有名です。
節分の深夜に行われる「火炉祭」では、
高さ5mの炉に溢れるほどに納められたお守りやお札に火が点けられ、
巨大な火柱が冬の夜空を焦がします。
他にも、参拝者の楽しみの一つにもなっている
「抽選券付きの厄除け福豆」などもあり、
京都の節分には欠かせないお祭りになっています。
参拝者が持参した全国各地のお札やお守りがここに焼き納められます
2017年がスタートし、事務所も3年目を迎え、
今年は、事務所としての真価が問われる年になりそうです、、、。
事務所として、もう一回り成長できるよう、
手を休めず、良いモノを作りつづけられたらと思います。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
地元・静岡市清水港よりお正月の富士を眺める
東京の目黒駅から徒歩5分、
高層ビルが立ち並ぶ街中に、ひっそりと佇む小さな教会、
『聖アンセルモ カトリック目黒教会』に行ってきました。
建物の内部は、
コンクリート打ち放しの構造が、アコーディオンのように折りこまれ、
力強く、重厚な雰囲気がつくりあげられています。
また、連続する折り込まれた壁から差し込む光は、
神々しくも美しく、
日没まで刻々と変わる光の入り方や、室内の質は、
その瞬間、瞬間で唯一無二の表情をみせてくれます。
幸運なことに、見学時にパイプオルガンの練習をされていて、
音響効果を体験することもできました。
その音色は、まるで建物自体が楽器の様に響き、
一瞬にして、室内の雰囲気を一転させ、
さらに素晴らしい空間へと変化させます。
光、音、建物の意匠、構造、、、
さまざまなエレメントが響きあう素晴らしい教会でした。
設計者であるアントニン・レーモンドは、
もともと好きな建築家の一人でしたが、
この教会に来て、ますますレーモンドに魅せられてしまいました。
一見すると、教会とは気がつかないような外観
『兄の家』こと、『中庭で守る家』が、
「第5回チルチンびと住宅建築賞」の若手建築家部門において、
「優秀賞」をいただきました。
事務所として一作品目となる作品でしたので、
完成までに時間もかかりましたが、
その分、情熱もたくさん注いだ大切な作品でしたので、
本当に嬉しく思います。
そしてこれからも、
自分たちらしく、丁寧に作品をつくり続ける勇気と励みになりました。
最後に、建て主のご家族をはじめ、
この作品に携わって下さった多くの皆さまに、
この場をお借りして、心よりお礼申し上げます。
12月初旬、久々に『蓮華寺』に行ってきました。
『蓮華寺』は京都市左京区、
鴨川の源流の一つである高野川のほとりにある小さなお寺で、
池を中心に配した池泉廻遊式の庭園が美しく、
紅葉の名所としても知られています。
何年か前に、JR東海のCMで紹介されてから、
以前より観光客が増えたものの、
それでも行くには少々不便なところにあるせいか、
静かにゆったりと拝観することができるお寺です。
決して派手さはありませんが、喧騒から離れ、
つい物思いにふけ、長居したくなる不思議な魅力があります。
そして、もう一つ、
このお寺の樹木やコケのお手入れは、
基本的にお寺の方がされているとのこと。
自然豊かな場所を重んじて、
敢えてあまり造形的にならないよう、心掛けているそうです。
お庭が自然の一部のように感じるのは、そのせいでしょうか。
自然な姿に敵うものはない、、ということなのかもしれません。
京都岡崎にある、名勝 無鄰菴の『もみじ茶会』に行ってきました。
毎年、もみじの見頃の時期にあわせて開催される『もみじ茶会』
普段は立ち入れないお茶室の見学や
一般公開されていない二階の座敷で、お点前を楽しむことができます。
京都のお寺に行くと、時々、お抹茶を頂くことがあるのですが、
茶会は久々だったので、少し緊張しながら臨みました。
でも、いざ茶会が始まると、独特の空気感の中、
おもてなしの心や、不思議な一体感に包まれ、
談笑も交えながら、最後はとてもあたたかい気持ちになりました。
『名勝 無鄰菴』についても少しご紹介すると、
無鄰菴は、内閣総理大臣も務めた山縣有朋の別荘として、
明治時代に造営され、近代の名園として、国の名勝にも指定されています。
庭園は、七代目 小川治兵衛が作庭したもので、
この日は、庭師さんによる庭の解説もあり、
当時の秘話など、楽しいお話をたくさん聞くことができました。
東山を望む絶景に、色づいた紅葉、
そして、疎水から流れる水のせせらぎ、、
五感に響く、何とも言えない安らぎと
豊かな時間を過ごすことができました。
茶会の様子:着物のもみじに、おもてなしの心が伺えます
離れの洋館には、日露戦争開戦前の『無鄰菴会議』に使われた部屋が、当時のまま残されています
「兄の家」の半年点検に行って来ました。
お客様立ち合いのもと、
施工を担当していただいたエフ・ベースさんと一緒に、
記録をつけながら、点検を行います。
点検箇所は、屋根、外壁、基礎、床下などの外部から、
床、壁、天井、建具、設備などの内部まで、一通りすべてチェックします。
このときお客様から、実際使用してみて、
気になる点などがあれば調整も行います。
2時間かけて、一つ一つ丁寧に点検を行い、
お客様にも喜んでいただけました。
また、薪ストーブも少しずつ使われているそうで、
「今度、ピザを焼くんだよ。」と
もうすぐ来る冬を楽しみにされているようでした。
引き渡しから半年経過した「兄の家」は、
床や家具の色が少し濃くなり、
中庭の芝も生えそろってきていて、いい感じです。
次回は半年後の一年点検。
これからの変化がますます楽しみです。
正面入口のジュンベリーやモミジは、葉を落とし始め、すっかり秋の装い
中庭の芝も生えそろってきました
先日、京都府立図書館で、いい本に出逢えました。
建築の本というと、
「聞きなれない言葉や、専門性が高くて、少し難しい、、、。」
そんな本が多いと思っている方も少なくないと思います。
『住宅設計と環境デザイン』というこの本は、
居心地の良い、住みやすい家を建てる上で大切な
「環境」をキーワードに、わかりやすく、
図や写真を用いて、解説しています。
家を建てるには、どのような事を考えたらいいのか。
そんな疑問に応えてくれる本だと思います。
項目ごとに細かく分かれているので、
自分が興味があるところから読んだり、
必要な部分だけ読めるのも、この本の読みやすいところ。
これから家を建てたいと思っている方、
建築を勉強している学生の方などにも、
一度、手に取っていただけたらと思います。
O邸の模型が完成したので、事務所前で撮影をしました。
事務所前には、自然豊かな広い公団住宅があり、
かつて紡績工場だった時代のレンガ造りの広場や、
一部の建物が今でも残されています。
少しレトロなその雰囲気が好きで、撮影場所として、
ときどき使わせていただいています。
模型は庭や車も一緒に作ることで、建物だけよりも
グッと全体の佇まいがイメージしやすくなりました。
開放的な2階LDKは、木立に囲まれ、気持ちのいい空間になりそうです。
窓から枝葉の緑や、木漏れ日を楽しめるのも、2階のLDKならでは。
また、詳細は後日、WORKSにアップする予定でいます。
屋根を外して上から撮影、建物と庭の関係がよくわかります
資料収集に『京都府立図書館』に行ってきました。
家の近くにも地域図書館があり、
そちらは、これまでもよく利用していたのですが、
さすが府立図書館、専門書の蔵書数が違います。
ついつい、あれも、これもと借りてしまい、
帰りは思いがけず大荷物に、、、。
それでも、まだ借り足りず、近々また伺うつもりでいます。
この『京都府立図書館』は、
「関西建築界の父」と呼ばれた「武田五一」さんの作品です。
他にも京都大学や京都市役所なども手がけ、
近代日本建築の偉大な建築家の一人と言われています。
今はもう残念ながら、阪神淡路大震災で、
当時のものは正面部分のみですが、
京都府立図書館:中は明るく、清潔感があります。
知り合いの工務店さんに頼まれた築30年のお宅の修繕工事の
現場に伺いました。
今回は屋根の葺き替えと、外壁の傷んだ部分の取替えを行います。
外壁のタイルは、築30年とあって、なかなか同じものはみつからず、、。
様々なメーカーに問い合わせ、なんとか似ているものがみつかり、
ホッとしました。
『建った時と同じ材料がない!』
これも修繕工事の難しさの一つです。
とはいえ、
新築住宅の気持ちよさや、楽しさはもちろんありますが、
Y様のように、すでに住んでいる家に手を入れながら、
『長く、大事に住む』というのも素敵な選択だな、、、と思います。
横内敏人建築設計事務所で担当させていただいた「桜並木の家」が、
住宅特集 2016年8月号に掲載されました。
巻頭に十数ページにわたり、手書きの図面なども紹介されています。
その中に元所員である私の名前を見つけて、、、
横内先生の温かい心遣いに、嬉しくなってしまいました。
今回の「庭」特集には、他にも素敵な作品が多数掲載されていて、
見ごたえのある一冊になっています。
はじめまして。
京都・静岡を拠点に活動している『吉武聖建築設計事務所』です。
ブログにご訪問いただき、ありがとうございます。
この度、ブログをはじめましたので、
これから、事務所での日常や、日々のこと、少しずつご紹介できたらと思っています。
開設して間もない小さな事務所ですが、
小さな石を積み上げるように、一つ一つ丁寧に向き合っていきたいと思っていますので、
これからもよろしくお願いします。
秋晴れの穏やかな日に、
『囲い庭の家』の上棟式がとり行われました。
今まで設計図の紙の上や模型で考えていたことが、
いよいよ形となって現れる瞬間です。
早朝より柱や梁が手順よく組み立てられ、
瞬く間に、家の形なっていくさまに、感動や高揚感を感じます。
建て主の娘さんも「私の部屋はどこ? うんていはつく?」と、
とても嬉しそうでした。
夕方には、無事に棟も上がり、上棟式が行われました。
やわらかな夕日が差し込む、美しい式典となりました。
工事を担当していただいた現場監督さんをはじめ、大工の皆さん、
長い時間、ありがとうございました。
祭壇に、工事の安全と、無事に建物が完成することを願って、お祈りをします
『囲い庭の家』の化粧構造材の材料検査に、
現場監督さん、大工さんと一緒に、プレカット工場に行ってきました。
まずは、柱の含水量を測定し、検品します。
その後、一本一本、節の位置や木目、木の性格を見極めながら、
図面に合わせて、柱の配置を決めていきます。
大変な作業でしたが、
帰りには、瀬戸内の美しい夕日を見ることができました。
『囲い庭の家』の配筋検査に行ってきました。
丁寧に編まれた鉄筋は、精度が高く、
とてもきれいな仕上がりとなっていました。
配筋検査が無事終了すると、
いよいよコンクリートの打設が始まります。
いい基礎ができそうで、完成が楽しみです。
師である横内敏人先生から
素敵な作品集を贈っていただきました。
今回の作品集は、「庭と建築」をテーマにまとめられ、
あとがきには、これまでの人生のあゆみや、出会いなども綴られており、
本作品集は、横内先生そのもののように感じました。
「庭と建物」が一体的に切りとられた写真はどれも美しく、
写真から伝わる、木々の青さや匂いとともに、風を感じ、
ゆったりとした時間の流れを感じます。
庭と建築とを一体的に設計することで生まれる豊かな環境は、
日本人の心の奥深くにある意識に、やさしく語り掛けるようです。
コロナ禍の今、
ライフスタイルや家に対する価値観は大きく変化しています。
そんな中、庭と建築をテーマにした作品集ができたことは、
何か不思議な縁を感じます。
書店にお出かけの際は、手にとって、感じていただけたらと思います。
『囲い庭の家』の地鎮祭に行ってきました。
「地鎮祭」は、家の工事に先立ち、
その土地の神様に、その土地を使用するお許しをいただき、
工事中の安全と、完成した家の繁栄を願うための儀式です。
その起源は古く、「日本書記」にも記述が残っているのだとか、、。
当日はあいにくの雨模様でしたが、
建て主ご家族の笑顔がこぼれる素敵な一日となりました。
「家づくり」も大きな節目を迎え、いよいよ着工です。
今から春の竣工が楽しみです。
設計者が「鎌」、施主が「鍬」、施工者が「鍬」を手に持ち、順に盛砂に作業する仕草をします
玉串拝礼:参列者が順番に玉串を捧げ、お祈りをします
工務店さんの資材工場には、時間をかけて自然乾燥された木材が、大量にストックされています
琵琶湖の南西、比叡山の麓に位置する『円城寺』に行ってきました。
『園城寺』は一般的に『三井寺』の名で、
古い歴史と文化財、また、数多くの伝説が残る寺として知られています。
「一切経堂」と呼ばれる禅宗様のお堂の中央には、
経典が納められた回転式の「八角輪蔵」があります。
暗がりの室内に足を踏み入れた瞬間、
あまりの巨大さと、おびただしい数の箱に、
一瞬、これは何だろう、、。と戸惑いながら、
寂びた柱や梁が、仏教の歴史深さと尊さを語りかけているようでした。。
今回もう一つ見学したかった「光浄院客殿」は、
残念ながら、特別拝観を中止されているので、
また、あらためて伺いたいと思います。
『上越 春日山の家』の打ち合わせに、
新潟・上越高田に行ってきました。
今回の打ち合わせは、
作成した1/100模型を実際の建築予定地に持っていきました。
窓から見える景色なども確認しながら進めることができるので、
実際に暮らし始めたときのイメージがしやすく、
充実した打ち合わせとなりました。
打ち合わせの終わりには、
またまた美味しい新潟の海の幸をご馳走になり、
お腹も充実した、しあわせな夜になりました。
作成した模型の写真は近日、WORKSにてUPする予定ですので、
よろしければ、またご覧ください。
鯛やハマチなど、今回も美味しいお刺身をたくさんいただきました
学生の頃から好きだった、清家清の代表作のひとつ
『豊雲記念館』のある『盛花記念センター』が、
この春、閉館されると聞き、閉館記念展に行ってきました。
『豊雲記念館』には、
華道小原流の三世家元である小原豊雲の再現作品とともに、
小原豊雲の美術コレクションが展示されています。
山の傾斜地を利用した広い敷地内には、
『豊雲会館』のほか、『旧家元会館』、『盛花記念館』など
小原流の建築が点在しています。
どの建物も傾斜のある敷地と一体化しながらも、それぞれに存在感があり、
それでいて、全体が絶妙なバランスでデザインされていて、
空間にもたつきや、よどみがありません。
なにより、小原豊雲の理想にどこまでもこたえようとした
建築家の思いが伝わってきます。
なにか、建築家が目指すひとつの答えを教えてもらったような、、
そんな気がしました。
「華道家・小原豊雲」と「建築家・清家清」という
二人の奇才だからこそ生まれた、
唯一無二のこの世界がなくなってしまうのは、なんとも惜しい。
昭和の名建築がまたひとつ消えていくことが、本当に残念でなりません。
今はただ、何かのかたちで、
この作品がこれからも存在してくれることを、願うばかりです。
山の傾斜に埋もれるようにつくられた『盛花記念館』から屋上庭園を望む
42歳という若さで亡くなられた四世家元・小原夏樹さんのインタビュー記事には、
苦悩しながらも、華道にどこまでも真摯に向かい合う姿勢に、心打たれました
先日、『兄の家』の二年点検に行ってきました。
久々の『兄の家』は、新緑が庭を覆い、
家のなかも、すっかりこの家での生活に落ち着いた様子。
手づくりの薪棚も、一年点検のときから、数を増やし、
子どもたちと一緒に割った薪が、
軒下にたっぷりと積み上げられていました。
薪ストーブが、兄家族にとって、
寒い冬の拠り所になっているのが窺えます。
また、昨年には薪ストーブのメンテナンス講習も受け、
年に一度の煙突掃除も建て主である兄、自ら挑戦するそうです。
便利な世の中で暮らす現代人にとって、
薪ストーブのあるくらしは、決して便利なことばかりとは言えませんが、
火のある暮らしを積極的に楽しみ、
手間をかけることも、家族で愉しんでもらえていることが
嬉しく思います。
軒下に積まれた薪は、風よけになると同時に、北風で薪が良く乾く効果もあります
登呂遺跡に行った際、同じ登呂公園内の一角にある
『芹沢銈介美術館』にも立ち寄りました。
『芹沢銈介美術館』は、別名『石水館』とも呼ばれ、
建築家 白井晟一さんの作品として、「公共建築百選」にも選ばれています。
芹沢銈介という名前を知らずとも、暖簾や本の装丁など、
自然と目に触れていることが多い芹沢銈介の作品。
日本人らしい色づかいやモチーフを用いて、
素朴で実用的であるにもかかわらず、
どこかモダンで、今みても新鮮に映ります。
また、芹沢銈介は染色家としてだけではなく、
優れた工芸品の収集家としても知られ、
館内には芹沢銈介の作品とともに、
収集された工芸品も数多く展示されています。
工芸品の多くは、彼自身が旅先で集めた
アジアをはじめ、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ、オセアニアなど
世界各国の品々。
どの品も芹沢銈介自身が楽しみながら収集し、
いとおしんでいたのが伝わってきます。
鑑賞後には、芹沢銈介の一貫してブレない美意識と、
収集家としての卓越した審美眼に、
同じ郷里であることを誇らしく思いながら、
必ずまた訪れようと思いました。
もともとは宮城県にあった「板倉」を気にいった芹沢銈介が、自邸内に移築改築してつくられた
先日、横内敏人建築設計事務所の先輩である吉川史子さんから
素敵な本を贈っていただきました。
著者は、吉川史子さんをはじめとする、
現在も子育てをしながら、建築を仕事にされている男女16名。
私自身も、子育てをしながら建築の仕事をしている身なので、
著者の皆さんが、苦労や工夫を重ねながら、
日々過ごされている様子に、反省や共感を覚えつつ、
「明日もがんばってみようかな、、」とちょっと元気をもらいました。
子育てしながら、仕事をされている方はもちろんですが、
これから結婚や子育てをされる方や
建築の道にすすもうとしている方にとっても、
リアルな将来を思い描きながら、それを乗り越えるためのヒントが
たくさん散りばめられている一冊だと思います。
書店にお出かけの際は、手に取っていただけたらと思います。
「豊田町の家」のインテリア模型に、新たに階段を追加し、
天井の異なる4パターンの模型を作成しました。
天井が与える影響はとても大きく、部屋の雰囲気も変わってくるので、
検討を重ねながら、進めていきます。
今回は階段が隣接しているので、階段室から入る光や、
子ども部屋のある2階とのつながりも考えながら、
イメージを膨らませていきます。
1. すべてが水平天井の場合
2. ダイニングのみ勾配天井の場合
3. 台所とダイニングが勾配天井の場合
4. すべてが勾配天井の場合
12月13日発売の「和モダン vol.10」のなかで、
「兄の家 / 中庭で守る家」が掲載されています。
創刊10周年の記念すべき号に、
師である横内敏人先生と同じ号に掲載され、
とても感慨深く、これからの設計活動の原動力となりました。
また、私の大好きな作品の一つである
藤井厚二さんの「聴竹居」をはじめ、
尊敬する建築家の方々の作品も多数掲載されています
書店にお出かけの際は、ぜひご覧ください。
「豊田町の家」のインテリアを検討するため、
スケッチと内観模型を作成しました。
スケッチや模型は時間もかかりますが、
図面だけではわからない、多くのことに気づくこともあり、
大切にしています。
図面 → 模型・スケッチ → 図面 という作業を繰り返しながら、
少しずつ修整や検討を重ね、より上質な室内空間を目指します。
その際、模型やスケッチ中に、
家具や薪ストーブなどを置くことで、
全体のインテリアの雰囲気やボリュームも、つかみやすくなります。
また、打ち合わせの際には、
図面・模型・スケッチをあわせてみていただくことで、
完成のイメージもグッと伝わりやすくなりました。
詳細は後日、WORKSにUPしますので、よろしければご覧ください。
内観模型。手前にあるのは薪ストーブ。
静岡県 住まいの文化賞の表彰式に行ってきました。
今回の表彰式には、建築主である兄をはじめ、
施工を担当いただいたエフ・ベースさん、
構造設計を担当いただいた高橋俊也構造建築研究所の髙橋さんにも
ご参加いただきました。
久しぶりに関係者が一堂に揃い、思い出話に花を咲かせ、
楽しい時間を過ごすことができました。
地元・静岡での受賞に、気持ちも新たに、
これからも真摯に設計に取り組んでいきたいと思います。
関係者の皆さま、ありがとうございました。
8月19日発売の『住宅建築』10月号の特集「佇まいとプロポーション」に
「兄の家 / 中庭で守る家」が掲載されています。
今回の掲載にあたり、改めて撮影していただいたのですが、
竣工して1年が経ち、庭の樹木も一回り大きく育ち、
床や家具も少しずつあめ色に変化し始めていました。
何より、そこに日々の生活が加わり、
暮らしぶりのわかる写真になっています。
書店にお出かけの際は、ぜひご覧ください。
最後に、撮影に協力して下さった施主家族の皆さま、
長い時間、撮影にご協力いただき、ありがとうございました。
竣工して1年が経ち、庭の芝は青々と生えそろい、樹木も一回り大きくなりました
「兄の家」が、雑誌『住宅建築』10月号(8月19日発売)に
掲載されることになりました。
『住宅建築』は、
私が学生時代に建築家を志すきっかけともなった、思い出深い専門誌です。
初めて出会ったのは、日も傾いた学校の図書館でした。
授業で難しい教科書ばかりを見ていたので、
多くの写真と図面が新鮮で、
その中で活躍している建築家の方々が眩しく映りました。
「いつか、こんな素敵な家が設計できたら、、、」と
胸を躍らせたのを今でも憶えています。
今回の掲載を嬉しく思うとともに、
担当していただいた現場監督さんをはじめ、
この作品に携わってくれた方たちが、
掲載を楽しみにしてくれていることが、
何より嬉しく思います。
先日、5年ぶりに新潟に行ってきました。
新潟は、修業時代に「上越高田の家」を担当させていただき、
何度も訪れた、思い出深い場所です。
今回は建て主さんのご厚意で、
「上越高田の家」も見学させていただいたのですが、
建物を見た瞬間、当時の記憶が鮮明によみがえりました。
建て主さんや職人さんたちとの打ち合わせ、
生まれて初めて食べたノドグロや鮫、
特にノドグロの塩焼きの美味しさは今でも忘れられません。
何より、多くの素敵な出会いがあり、
私は、すっかり新潟が好きになってしまいました。
そんな新潟に、こうしてまた訪れることができたこと、
大変嬉しく、幸せに感じています。
北陸新幹線が開通して、新潟がグッと近くなりました
「雑木の手入れ」について、
わかりやすく紹介している本に出会いました。
この本のいいところは、
いわゆる図鑑としての樹種の紹介だけでなく、
剪定などの日頃の手入れの仕方について、
写真やイラストを多く用いて、初心者にもわかりやすく、
丁寧に説明されていることです。
だれでも難しいと思われる、切り落とす枝と残す枝の選び方、
肥料の必要な樹種やあげる時期、害虫駆除の対処方法から
ハサミなどの剪定道具の紹介に至るまで、丁寧に1冊にまとめられています。
維持管理や、剪定の仕方に困っている方だけでなく、
「一本だけ足したいんだけれど、専門家に頼むのも、、、。」
「樹木を植えようと思っているけれど、何がいいかわからない、、。」
と樹種選びに迷われている方にもおすすめです。
ちょっと難しそう、、と思っていた庭づくりを、
きっと身近に感じることのできる一冊だと思います。
「兄の家」も早いもので、
引渡しから一年が経ち、一年点検に行ってきました。
一年点検も、半年点検と同様、お客様立ち合いのもと、
施工を担当していただいたエフ・ベースさんと一緒に、
記録をつけながら、外壁などの外部から、室内の設備機器に至るまで、
一つ一つ丁寧に点検を行います。
それ以外にも、一年生活してみて、
お客様から気になる点などがあれば、合わせて調整を行い、
職人さんが必要な場合には、後日改めて調整に伺います。
一年点検でも、大きな不具合もなく、
快適に過ごされているとのことで、
特に冬場は、真冬でも日中は暖房器具をつけることなく、
過ごされたそうです。
陽が落ちる頃、薪ストーブに火をくべれば、
すぐに家中が暖まり、朝方まで快適とのこと。
さらに、やかんをストーブの上に置き、加湿も兼ねられるうえ、
冬場の乾きにくい洗濯物もカラッと乾くそうで、
想像以上の薪ストーブ効果に、お客様も大満足されていました。
ただ、想像以上に薪ストーブが活躍するので、
たくさんの薪を置ける場所が必要になり、
今回の点検の際に、薪棚のご提案もさせていただきました。
点検後、早速、器用なご主人がホームセンターで単管パイプを購入し、
楽しそうに、簡易の薪棚を作られていました。
薪ストーブのある暮らしを、
家族みんなが楽しまれているのが伝わり、
嬉しく思うと同時に、
火のある暮らしがもたらす恵みの大きさを改めて感じました。
ご主人手作りの簡易の薪棚
『兄の家』こと『中庭で守る家』が、
第1位を受賞いたしました。
審査委員長の講評から、
図面や設計意図を丁寧に汲んでいただけたことが伝わり、
大変嬉しく、これからの設計活動の励みとなりました。
建て主のご家族をはじめ、
工事に携わっていただいた全ての方々に、感謝を伝えると共に、
これからも一生懸命、設計活動に取り組みたいと思います。
毎年恒例となっている吉田神社の「節分祭」に行ってきました。
このお祭りは、室町時代に始まった歴史あるお祭りで、
毎年50万人もの参拝者と、約800店の露店が軒を連ねます。
「厄除けの発祥の杜」としても知られる吉田神社ですが、
八角形の本殿に、後方に六角形の部屋がついた大変珍しい形をしていて、
重要文化財にも指定され、建築物としても有名です。
節分の深夜に行われる「火炉祭」では、
高さ5mの炉に溢れるほどに納められたお守りやお札に火が点けられ、
巨大な火柱が冬の夜空を焦がします。
他にも、参拝者の楽しみの一つにもなっている
「抽選券付きの厄除け福豆」などもあり、
京都の節分には欠かせないお祭りになっています。
参拝者が持参した全国各地のお札やお守りがここに焼き納められます
2017年がスタートし、事務所も3年目を迎え、
今年は、事務所としての真価が問われる年になりそうです、、、。
事務所として、もう一回り成長できるよう、
手を休めず、良いモノを作りつづけられたらと思います。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
地元・静岡市清水港よりお正月の富士を眺める
東京の目黒駅から徒歩5分、
高層ビルが立ち並ぶ街中に、ひっそりと佇む小さな教会、
『聖アンセルモ カトリック目黒教会』に行ってきました。
建物の内部は、
コンクリート打ち放しの構造が、アコーディオンのように折りこまれ、
力強く、重厚な雰囲気がつくりあげられています。
また、連続する折り込まれた壁から差し込む光は、
神々しくも美しく、
日没まで刻々と変わる光の入り方や、室内の質は、
その瞬間、瞬間で唯一無二の表情をみせてくれます。
幸運なことに、見学時にパイプオルガンの練習をされていて、
音響効果を体験することもできました。
その音色は、まるで建物自体が楽器の様に響き、
一瞬にして、室内の雰囲気を一転させ、
さらに素晴らしい空間へと変化させます。
光、音、建物の意匠、構造、、、
さまざまなエレメントが響きあう素晴らしい教会でした。
設計者であるアントニン・レーモンドは、
もともと好きな建築家の一人でしたが、
この教会に来て、ますますレーモンドに魅せられてしまいました。
一見すると、教会とは気がつかないような外観