地下庭から地上を見上げる
ホームページの「WORKS」に、新しく「ヴォールトのあるコートハウス」(仮) を追加しました。
ご夫婦2人で住まわれるガレージ棟のついた平屋建てのコートハウスです。
また、順次HPでご紹介いたしますので、よろしければご覧ください。
「地上と地下に庭のある家」(仮題) が、引渡しを迎えました。
2台の薪ストーブにも初めて火入れが行われ、家の息吹きを感じました。
この家は、隣家迫る城下町に、「3.6mの敷地の高低差」「撤去不可能な擁壁」、そして、火災に対して高い性能を求められる「防火地域」と、とても難易度の高いプロジェクトでした。
前例のない設計に、終始、挑戦者のような気持ちで取り組んできましたが、結果的に設計者として大きく成長させていただいたプロジェクトになりました。
このような貴重なお仕事をいただいた建築主のご家族には、あらためて心より感謝申し上げます。
帰り際、ご長男が薪ストーブ前の造作ソファに座った時、「吉武先生!ソファーまで完璧やん!」と驚きの声を上げ、そこにいた皆が一斉に笑い、その笑い声が家の隅々まで響きました。
私にとって最高のねぎらいとなりました。
師走の慌ただしい中での引渡しでしたが、建築主ご家族にも喜んでいただけたことが、何より嬉しく思っています。
家の引渡しは終わりましたが、外構工事、造園工事とまだ工事は続きます。
また、彼が喜んでくれたら嬉しいです。
「彼女の小さな家」の引渡しが行われました。
置き家具も入り、建築主の彼女がイージーチェアに座った時の笑顔が印象的で、少し設計者としての肩の荷がおりたような気持ちになりました。
冬至から少し時間が経っていましたが、室内の奥深くまで日が差し込み、ポカポカした暖かで気持ちの良い室内でした。
建築主の彼女にあった可愛らしい家ができました。
造園工事や外構工事が終わりましたら、撮影を行い、あらためてHPでご紹介いたしますので、ご覧いただけたら嬉しく思います。
「彼女の小さな家」の現場監理に行ってきました。
リビングと趣味室を区切る壁のRの養生が取れ、雰囲気が分かりました。
趣味室の壁のRは、建築主の彼女が気に入って見せてくれた外国のインテリアの写真を元に設計をしています。
この家は、和洋折衷のインテリアですが、この空間に合うように、Rの壁の大きさや高さを丁寧に整え、彼女に合うように女性的な優しさや、書斎の籠り具合や安堵感など、空間の雰囲気を作るために、試行錯誤をしながら設計をしました。
Rの枠ですが、秋田の伝統的工芸の木のお弁当などで使われる技法の「曲げわっぱ」と同じ作り方で作っています。
薄い木の板を水に一晩漬けて、板を曲げて作ります。
器用な大工さんで、むくりの屋根同様、綺麗に作ってくれました。
「彼女の小さな家」の現場監理に行ってきました。
大工さんの工事もひと段落となり、少し静かな現場でした。
リビング横の小さな書斎は、低い天井やRの入り口で、ほのかに暗く、詩的な雰囲気を持つ、心地のよい空間になっていました。
「彼女の小さな家」の現場監理に行ってきました。
晴れ渡る空の下、流れる汗をぬぐいながら、職人さんが丁寧に瓦を葺いてくれました。
近年の地震対策として、全ての瓦をビスと釘で止めつけます。
また、今回はむくりのついた屋根のため、瓦を削りながら、むくりに擦り合わせて、一枚一枚取り付けます。
大工さんは、破風と呼ばれる屋根の側面を守る板に、屋根を軽やかに見せる加工を行い、作ってくれました。
「温故創新」どのような佇まいになるか楽しみです。
ホームページの「MODEL AND SKETCH」に、新しく木造平屋建て2階建ての家の模型を追加しました。
こちらは「高床の家」の初期案の模型で、ゆったとした農村の風景に沿った水平ラインの美しい佇まいになっていますので、よろしければ、ご覧ください。
ホームページの「MODEL AND SKETCH」に、新しく2階建てのコートハウスの模型を追加しました。
こちらは「囲い庭の家」の初期案の模型で、平屋建てのコートハウスとは、また違った雰囲気となっておりますので、よろしければ、ご覧ください。
「地上と地下に庭のある家」のソファ サンプルを見に、いつもお世話になっている興石さんへ行ってきました。
ソファの座り心地を事前に確認するため、作っていただいたサンプルをもとに、クッションの厚みや硬さのほか、高さや奥行きなどを実際に座っていただき、確認していきます。
クッションの張地も、カーペットや他のインテリアとの調和を考えて、張地サンプルを見ながら、選んでいきます。
世界にひとつだけのソファが、どんなソファに仕上がるのか、今から楽しみです。
打ち合わせ後に、現場によると、ブラックチェリーの床材が張られていました。大工さんの丁寧な仕事ぶりが窺える美しい仕上がりに、建て主ご家族も大変喜んでいらっしゃいました。
工事はこの後、室内の建具枠に移ります。
ここから少しずつ、室内の雰囲気が出来上がっていきます。
「地上と地下に庭のある家」の煙突がたち、薪ストーブが搬入されたとの報告を受け、胸を膨らませて、現場に行ってきました。
この家では、地上と地下にそれぞれ薪ストーブを計画していますので、煙突が二本立ちます。高さの違う二本の煙突が立ち並ぶ姿は、親子のようで、どこか愛らしい雰囲気があります。
現場は、外壁の左官工事が進み、雨仕舞を重点的に監理してきました。
近年の豪雨を想定して、注意深く、確認していきます。
大工さんの強化プラスターボード二重張りの闘いは、未だ続いており、「木造1時間耐火」の防火被覆の作業量の大きさに、防火地域での計画に対する今後の課題を痛感しています。
汗を拭いながら、根気よく一枚一枚、丁寧に張る大工さんに敬意を表します。
やはり大工さんや職人さんは、凄いです。
屋根のむくりの打ち合わせに現場に行ってきました。
この家の急勾配の屋根には、「むくり」という、数寄屋づくりでみられる屋根を少し膨らませて、軒先の雨水の切れを良くする手法ですが、屋根の印象としても、柔らかさを与え、軽やかな佇まいとなります。
むくり屋根の傑作は、「桂離宮」ですが、今回の家は、前後の屋根の勾配が違い、さらに正面は45度の急勾配の「切妻造」となる特殊な屋根形状となっています。この特殊な屋根に近い作品として、45度の急勾配で「むくり」を付けている建物に、高須賀晋さんが設計した「龍雲院白山道場」があります。この二つの建物を参考に設計をしました。
今回の「むくり」の高さは、大工さんの計らいで実際に現場で垂木を曲げて決めることになり、垂木の下に楔を打ち、少しずつ高さを変えて、その都度、屋根の雰囲気を確認します。
悩みに悩んで、決断をしました。
どのような屋根になるか、楽しみです。
「地上と地下に庭のある家」のカウンター材や手摺などの造作材選びに、京北山間の竹内工務店さんの倉庫に行ってきました。
竹内さんのお取り計らいで、師匠である横内敏人先生のプロジェクトの材料選定とご一緒させていただきました。
私もメジャーを片手に、先生の材料選定にもお手伝いさせていただき、久しぶりに修業時代を思い出しました。
選定後、私の図面を先生に見ていただきました。
図面を見てもらうのは10年ぶりでしたので、緊張しましたが、とても懐かしく、楽しい時間となりました。
帰り際には、先生から「完成したら見せてね。」と笑顔で言われ、約束して別れました。
「地上と地下に庭のある家」の工事は、造作材の加工に入ります。
材料の選定をする、横内先生と竹内社長
京都の東山にある「河井寛次郎 記念館」に行ってきました。
陶芸家である河井寛次郎自身が設計したこの建物は、実際に家族とともに暮らした自宅と工房を、河井さんのご家族やご子孫が、記念館として残されたものです。
記念館には、実際に使われていた登り窯から、調度品までが保存されており、当時の創作のようすや暮らしぶりが、窺えます。
また、河井さんは、陶芸のほか、彫刻や書などでも多くの作品を残されていますが、家具や照明器具などのデザインも手掛けています。いずれもどこか縄文的な親和性を帯びていて、優しく語りかけるようです。
建物は「町屋造り」となりますが、敷地の中央に広く明るい中庭があり、中庭を中心に住宅の各居室や工房や窯の位置が、部屋の用途と方位に合わせて整然と美しく配置されています。
二階建ての住居棟は、居間の吹き抜けを中心に部屋が配置され、寝室は開放的で中庭を見降ろせる気持ちの良い部屋となっていました。
また、洗面所など至る所には小さな収納が設けられ、暮らしに寄り添った家だと感じました。
銘木や高級な材料はあまり用いず、古材や職人の手仕事の刃物の跡をあえてデザインとして残すなど、河井さんの物づくり哲学や人間らしい優しさ、温もりを感じます。
「家は住まい手を表す」という言葉がありますが、この家は、まさに河井さんそのもののように感じました。
『彼女の小さな家』の配筋検査に行ってきました。
鉄筋の本数・太さ・定着などを、監督さんや職人さんと一緒に、一つ一つ丁寧に1時間半ほどかけて、確認と調整を行いました。
次の工程は、一回目のコンクリートの打設を行い、家屋内側の型枠を建て、土台や柱を基礎に固定する金物の設置工事に移ります。
『地上と地下に庭のある家』の現場監理に行ってきました。
現場は、外壁と軒裏の防火被覆材の「耐火ボード」が張り終わり、下地工事へと移っていました。
今回の建物は、木造での「一時間耐火建築物」となります。
そのため、柱や梁などの構造材は、すべて「耐火ボード」で囲います。
外周部に使った「耐火ボード」は、大きさ60㎝×182㎝、厚み2.1㎝、一枚の重さは18キロ、それを二重に重ね張りし、総枚数は730枚にのぼりました。
この重労働を大工さん二人で張り終えたとのことで、驚くばかりです。
本当にお疲れさまでした。
リビングのスキップフロアの墨出しの様子
2階の子供室の様子
2階の子供室には窓が取り付けられました
大寒、フキの花咲くころ、『彼女の小さな家』の地鎮祭が、しめやかにとり行われました。
建て主をはじめ、今回施工いただく竹内工務店さんとともに、その土地の神様に、工事中の安全と、完成した家の繁栄をお祈りします。
神主さんが打つ柏手は、まるで雅楽楽器のように、冬空に美しく響きわたり、曇り空を取り払っているかのようでした。
祭事が終わるころには、曇り空も晴れわたり、暖かな光が差し込む、幸先のよいスタートとなりました。
『高床の家』の建て主さんより、「水面が見えなくなるほど、稲が育ちました」と写真を送っていただきました。
青々と育った稲穂に、生命力を感じます。
季節と共に移り替わる水田の風景を楽しんでいらっしゃることが、何より嬉しいです。
実りの秋には、どのような景色に出会えるか、今から楽しみです。
田植え前の田んぼに水が張られた様子
田植え直後の様子
稲が成長して青一色となった青田の様子
6月19日発売の「住宅建築」500号 にて、『高床の家』が紹介されました。
今回紹介された作品は、「雪害」に対応した住まいです。
近年、10年間で800人を超える方が、「雪害」により命を落とされており、けが人を含むと、さらに多くの方が被害に遭われています。
『高床の家』では、建築的な手法や工夫を凝らすことで、「雪下ろし、雪かき、雪囲い」といった雪国での重労働を取り除き、家を傷める「雪庇、結露」などの対策も試みています。
また、近年多くの方が、台風や集中豪雨、土砂災害などの「水害」に遭われていますが、『高床の家』の1階部分を木造から鉄筋コンクリート造に変えることで、河川沿いや高潮のおそれのある沿岸部の家にも、適応できると思っています。
家づくりの参考に、少しでもお役にたてれば、幸いです。
高床式住宅に近似した佇まい。
1階のピロティ部分は駐車場、室内は玄関と倉庫のみとし、居住スペースはすべて2階に配置している。
雪が積もった時の断面イメージ
雪下ろしの基準を記載した表示板を建物に据えつけます
大阪府豊中市にある「日本民家集落博物館」に、友人と行ってきました。
北は岩手、南は奄美大島まで、12棟の民家や倉庫、門などが移築されており、自然の広い敷地の中で、ゆったりと見学することができます。
この博物館の最大の特徴は、違う地域の民家を、一度に見比べることができることです。
北国の民家と南国の民家では、大きく異なります。
民家は、周りの環境や生業にあわせて、家の姿や形が変わり、地域の文化や伝統が、家の形として現れます。
民家は、人間が生き抜くための先人の知恵の塊です。
当時は、電気もガスも水道もなく、そのころの暮らしに想いをはせると、生きることの厳しさを感じます。
先人の暮らしの過酷さと、たくましさに触れる貴重な機会になり、民家の力強い佇まいは、当時の暮らしを無言で語りかけるようです。
民家は過去のものではなく、現代の暮らしにも役立つ知恵が詰まっていると私は思います。
河内布施の長屋門(大阪府)
日向椎葉の民家(宮崎県)
信濃秋山の民家(長野県)
大和十津川の民家(奈良県)
越前敦賀の民家(福井県)
吉武聖建築設計事務所のInstagramを開設しました。
竣工写真や、事務所での日常など、
少しずつですが、ご紹介できたらと思います。
建築家 阿部 勤さんの訃報を聞いたのは、2月のことでした。
昨秋、自邸の作品集が出版されたのを思い出し、
すぐに本屋さんへと走りました。
奇しくもその本は、
阿部さんの人生を振り返り、自邸50年の軌跡をまとめた本でした。
生い立ちから、家づくりの秘話、
住まいぶりや近所の子どもたちの噂話まで書かれており、
阿部さんのお人柄が本から伝わってきます。
藤塚光政さんが撮られた写真は、
阿部さんの家の「生活の匂い」まで捕らえています。
特に、表紙の書斎の写真は、
席を外した阿部さんが、今にも飲み物を片手に戻ってきそうで、
阿部さんが写った写真では、思わず涙がこぼれました。
18年前、ご縁があり、
ご自宅で、手料理を振舞っていただいたことがありますが、
気さくで優しいお人柄で、
ご自宅の説明やプライベートな質問にも快く応えてくれました。
お気に入りのノラ・ジョーンズが、途切れることなく流れ、
終電を逃すほど、居心地が良かったことを覚えています。
この本は、阿部さんのお人柄をうつしたように
多くの図面とともに、手書きのパースやスケッチを用いて
やさしく説明されています。
また、丁寧な構成や文体などから、
編集者の皆さんの阿部さんへの愛情も感じました。
どなたでも名作の秘密に迫れる素晴らしい本ですので、
多くの方に読んでいただけたら、嬉しく思います。
ノラ・ジョーンズを聴きながら、是非。
『高床の家』の建て主さんが、
「田植えが終わりました。これから、毎日、稲の成長が楽しみです。」と
リビングから撮った写真を送ってくださいました。
日々の生活のなかで、
季節の移ろいや里山の風景を楽しみながら、
暮らしていただけているのが、何より嬉しく思います。
3月の雪解けを待って、
『高床の家』の造園工事に行ってきました。
2階リビングから桜を楽しんでいただけるよう、
目線の高さに合わせて、桜を4本植えました。
新潟県の桜の開花は4月上旬とのことですが、
どんな景色をみせてくれるのか、今から開花が楽しみです。
雪景色の『高床の家』を、
写真家の畑拓さんに撮影していただきました。
雪国の天気は変わりやすいのですが、
天候にも恵まれ、無事撮影することができました。
リビングの窓から望む里山の雪景色は、
思わず息を飲む美しさで、
春には水鏡、夏には風になびく稲の波、
実りの秋には、黄金色の稲穂の絨毯が広がり、
これから、四季折々どんな景色を見せてくれるか楽しみです。
また、お引渡しから1か月ほどでしたが、
玄関には一輪挿しが飾られ、
テラスにはアウトドアチェア、
薪ストーブの周りには、ファイヤーツールが置かれていました。
この家での生活を愉しみながら、
大切に暮らされているのが、何より嬉しかったです。
ピロティ撮影の様子
外観撮影の様子
一瞬の光を捕えようと、
じっとカメラを構える畑拓さん
書斎コーナー撮影の様子
和室撮影の様子
建物が完成したとの報告を受け、
新潟の『高床の家』に行ってきました。
家が完成すると、建築主へのお引渡しの前に、
まず、設計者による設計検査を行います。
設計検査は、建築主に安心して、
引き渡しを受けていただく為にも、
大切な検査だと考えています。
検査では、現場監督さんや職人さんと一緒に、
一つ一つ丁寧に確認を行い、
不具合がある場合には、
一緒に対策を考え、是正工事を行います。
現場監督さんや職人さんのご協力により、
とても品質の高い家ができていました。
是正工事が終わったら、いよいよ引き渡しです。
厳しい雪国の暮らしのなかで、暖かい灯がともる
凛とした冬空のもと、
地鎮祭が厳かに執り行われました。
この家は、敷地の法律的な制限が厳しく、
さらに3.6mの高低差と、解体できない擁壁もあり、
修業時代にも経験したのことない、とても難しい設計となりました。
今まで培った知識だけでは、設計が叶わず、
新たに勉強しては設計し、新たに勉強しては描き直し、
長い時間がかかってしまいました。
その間、私を信じ、設計を預けてくださった建築主ご家族と、
ようやくこの日を迎えることができ、
式典の挨拶では、これまでの想いに、自然と涙が溢れました。
この日は 冬至でしたが、
冬至はこの日を境に日照時間が延びていくことから、
陰の気が弱まり、陽の気に向かう折り返し地点と考えられていたそうです。
この考えは『一陽来復』(いちようらいふく)といわれ、
長い設計期間が終わり、工事着工を迎える門出に
ふさわしい一日になりました。
祝詞奏上:神主さんが工事を祈り、祝詞を奏上します
鍬入れの議:建築主が鍬を持ち、鍬で盛砂を掘ります。
凛とした空気に包まれながら、静かに地鎮祭が執り行われました
木工事が終盤を迎えたとのことで、
『高床の家』の品質監理に、新潟に行ってきました。
里山の季節は、前回のトンボが飛び交う小春日和とは一変して、
横なぐりの風と雨で気温は下がり、雪国の厳しい冬の訪れを感じます。
現場では、外部の足場も外され、
大工さんが押入などの棚板を加工し、木工事も終わりを迎えていました。
季節の移り変わりとともに、工事もいよいよ最終段階へと移ります。
ピロティ部分
外からリビング窓を見る
軒先をしたから見上げる
ピロティの天井も張られました
棚板を加工する大工さんの向こうには、里山の景色が広がる。
クローゼットからサンルームを見る
押入棚を作る若い大工さん
暖かな秋晴れ、『高床の家』の品質監理に、上越に行ってきました。
現場は順調に進み、外部周りの仕事へ進んでいました。
建築業界も高齢化が進んでいるといわれていますが、
現場には、20代の若い職人さんの姿が多く見受けられ、
活気のある現場でした。
電気や水道関係の配線、配管工事も中盤に差し掛かり、
工事は次の段階に移ろうとしています。
大きく張り出した屋根が、美しく、足場が取れるのが楽しみです。
水田からの外観
屋根の上から見る春日山城跡
軒裏と外壁
ピロティの設備配管
ピロティの倉庫部分
ガラス取り付けの様子
小雨が降る秋、
『高床の家』の上棟式がとり行われました。
コロナによるウッドショックやウクライナ情勢、
物価の高騰など、
度重なる未曾有の災害の影響を受け、
何度も何度も、設計の見直しや見積調整を行い、
ようやく上棟までたどり着くことができました。
上棟式での挨拶では、
建築主からこれまでの苦難を乗り越えた想いや感謝の言葉に、
思わず目頭が熱くなりました。
くしくも上棟日は、私の誕生日で、
最高のプレゼントとなりました。
建築主のご家族の皆さま、
本当におめでとうございました。
建物の全景
ピロティ部分
LDKの様子
小屋裏通気口
節のない良材の破風板
屋根の様子
『高床の家』の材料検査に、行ってきました。
こちらの建物は、もともと小学校の体育館だったそうで、
天井には、木組みのトラスが高密に配置されています。
雪国らしい重厚で、ダイナミックな建築は、まさに圧巻です。
木材の材料検査では、
樹種や使用箇所の確認、含水量などの測定を行い、
品質も併せて確認します。
材料検査の後には、基礎の金物検査も行いました。
監理が行き届いた丁寧な現場に、
職人さんも気持ちの良い方たちばかりで、
ますます完成が楽しみになりました。
稲刈りが終わり、里山の風景も秋の装いに変わり始めています。
来月はいよいよ上棟です。
上越の川住材木店さんが、
良材を揃えてくださいました
大工さんと相談しながら、
化粧柱の配置を決めます。
含水量の測定も行います。
基礎工事の様子
アンカーボルトが適切に設置されているか確認します。
基礎幅のチェックも
行います。
『高床の家』の配筋検査に行ってきました。
きれいに組まれた鉄筋は、非常に丈夫で、美しく、
丁寧な仕事が伝わってきます。
配筋検査の後は、
上棟に先立って、プレカットの打ち合わせもしてきました。
来週は、いよいよコンクリートの打設が始まり、
上棟に向けて、準備が整いつつあります。
雪国の家らしい、強靭な構造の木造住宅ができていきます。
配筋検査では、構造事務所の設計者さんと一緒に
検査していきます。
コンクリートの仕上がり高さや勾配も、
丁寧に糸を張り、念入りに打設準備をします。
配筋検査の後には、現場監督さんや大工さんなどと一緒に、
今後の工事計画について話し合いました。
玉串拝礼:建築主から順番に、設計者や施工者が玉串を捧げ、お祈りをします
不安定な天気が続いていましたが、この日は夏空の広がるいいお天気になりました
京都市内にある「狸谷山不動院」に、お礼参りに行ってきました。
山の中にある本堂の奥には洞窟があり、
もともと洞窟の岩肌部分に、不動明王像を安置したのが始まりだとか、、。
その後、その洞窟を覆うように、お堂が建てられた珍しいお寺です。
ご本尊の咤怒鬼(たぬき)不動明王は、
その名のとおり、直視するのがためらうほどの眼力で、
えもいわれぬパワーを感じます。
古くから修験道の寺院として知られているだけに、
本堂までの道はハードですが、どこか不思議な空気感のあるお寺でした。
山から迫り出すように建てられた「懸崖造り」(かけづくり)の本堂は、
木組みの上にたっています。
250段の石段の始まりには、たくさんの狸の置物が出迎えてくれる
「懸崖造り」は「舞台造り」とも呼ばれ、清水寺の舞台と同じ作りになっている。
本堂からは山の間から京都市内が一望できる
山頂まで約550m参道には、杉や桧が生い茂る
『囲い庭の家』の造園を手掛けていただいた
厚生労働省より贈られる【現代の名工】(卓越した技能者) に選ばれました。
愛媛新聞社とテレビ愛媛でも取り上げられ、
テレビ愛媛では、『囲い庭の家』の写真も紹介されました。
越智さん、本当におめでとうございます!
「愛媛新聞」より
『囲い庭の家』の竣工写真をWORKSに掲載いたしました。
この住宅は、緑豊かな中庭を、
平屋建ての建物で囲んだコートハウスの作品です。
寝室などのプライベートスペースも一階にあり、
すべての部屋から、中庭を楽しむことができます。
また、太陽の動きに合わせて、
時間の流れとともに日の当たる部屋が移り変わり、
中庭を通した風や木漏れ日が、室内を美しく演出します。
ご覧いただけましたら、幸いです。
撮影していただきました。
今回の撮影では、
コートハウス形式でも、建物の全体像がわかるよう
ドローンによる鳥瞰写真もお願いしました。
ドローン撮影では、
音をたてて空中に舞い上がるドローンに、
子どもも大人も興奮し、
タブレットに映る鳥瞰写真に、みんなで感嘆の声をあげながら、
想い出に残る楽しい撮影となりました。
建て主のご家族の皆さまには、
引越しからあまり時間もないなか、
床の間やリビングを美しくしつらえていただいたり、
休憩時間に鞆の浦をご案内いただいたり、、と
長い時間、撮影にご協力いただきまして、本当にありがとうございました。
また、撮影日には、造園家の越智將人さんご夫妻や、
現場監督さんご夫妻もお越しいただき、
思いがけず、この作品に携わっていただいたご家族の皆さまにも
ご覧いただけて、本当に嬉しかったです。
『囲い庭の家』が完成し、引渡しを迎えることができました。
建築主のご家族の皆さまをはじめ、
施工を担当してくださった「ホーム株式会社」の角田社長、
現場監督さんや大工さん、
造園工事をお願いした「創造園」越智將人さん、、、
工事に携わっていただいた皆さんに喜んでいただけたことは、
設計者として、この上ない幸せを感じています。
また、造園家の越智將人さんとは、
10年前、専門誌で作品を拝見して以来、
「いつかお仕事をご一緒できたら、、。」と思っていたので、
長年の願いが叶い、お仕事をご一緒できたことは、
大変貴重な経験となりました。
多くのご縁に恵まれ、
みんなで協力して、一つの家をつくっていく、、、
あらためて『ものづくり』の楽しさや充実感を感じました。
携わっていただいた皆さんに、心より感謝申し上げます。
後日、写真を撮影し、HPで紹介いたしますので、
また、ご覧いただけたら嬉しく思います。
『囲い庭の家』の現場監理に行ってきました。
屋根工事や外壁の左官工事が終わったので、
監督さん立会いのもと、検査を行います。
外壁の左官工事では、
職人さんの技術力の高さが光る仕上がりに驚きました。
来週からは、いよいよ外壁の塗装工事が始まり、
これで外観がほぼ整います。
内部は、断熱材工事が終わり、少しずつ室内の雰囲気が出来てきました。
また、検査後に行ったロールスクリーンの打ち合わせでは、
修業時代からお世話になっている業者さんが、
大阪から職人さんを連れて、車で福山まで来てくれました。
久々に会うことができて、嬉しかったです。
屋根から見た中庭
屋根完成
軒先の様子
技術力の高さが光る左官工事
リビングの様子:壁には断熱材が綺麗に敷き詰められています
『囲い庭の家』の唐紙選びに、
京都修学院の「唐長」さんへ行ってきました。
「唐長」さんは、江戸時代から唐紙を作り、
約400年続く日本唯一の唐紙屋さんです。
今もその伝統を守り続け、二条城や桂離宮をはじめ、
多くの重要文化財保存にも尽力されています。
今回は、11代目当主に、唐紙選びにご協力いただきました。
唐紙選びは、光の入り具合により柄の見え方が変わりますので、
完成をイメージしながら、建て主さんと一緒に選んでいきます。
貴重な作業場や、先祖代々受け継がれる大切な版木なども見せていただき、
歴史の重みや日本の伝統に触れる貴重な時間となりました。
建て主さんも、今から和室の完成を楽しみにされていました。
作業場にて実際の唐紙を見せていただきました
秋晴れの穏やかな日に、
『囲い庭の家』の上棟式がとり行われました。
今まで設計図の紙の上や模型で考えていたことが、
いよいよ形となって現れる瞬間です。
早朝より柱や梁が手順よく組み立てられ、
瞬く間に、家の形なっていくさまに、感動や高揚感を感じます。
建て主の娘さんも「私の部屋はどこ? うんていはつく?」と、
とても嬉しそうでした。
夕方には、無事に棟も上がり、上棟式が行われました。
やわらかな夕日が差し込む、美しい式典となりました。
工事を担当していただいた現場監督さんをはじめ、大工の皆さん、
長い時間、ありがとうございました。
祭壇に、工事の安全と、無事に建物が完成することを願って、お祈りをします
上棟の様子
工務店の社長さんも一日、
付き添ってくださいました
7名の大工さんが一気に棟まであげていきます
『囲い庭の家』の化粧構造材の材料検査に、
現場監督さん、大工さんと一緒に、プレカット工場に行ってきました。
まずは、柱の含水量を測定し、検品します。
その後、一本一本、節の位置や木目、木の性格を見極めながら、
図面に合わせて、柱の配置を決めていきます。
大変な作業でしたが、
帰りには、瀬戸内の美しい夕日を見ることができました。
『囲い庭の家』の配筋検査に行ってきました。
丁寧に編まれた鉄筋は、精度が高く、
とてもきれいな仕上がりとなっていました。
配筋検査が無事終了すると、
いよいよコンクリートの打設が始まります。
いい基礎ができそうで、完成が楽しみです。
師である横内敏人先生から
素敵な作品集を贈っていただきました。
今回の作品集は、「庭と建築」をテーマにまとめられ、
あとがきには、これまでの人生のあゆみや、出会いなども綴られており、
本作品集は、横内先生そのもののように感じました。
「庭と建物」が一体的に切りとられた写真はどれも美しく、
写真から伝わる、木々の青さや匂いとともに、風を感じ、
ゆったりとした時間の流れを感じます。
庭と建築とを一体的に設計することで生まれる豊かな環境は、
日本人の心の奥深くにある意識に、やさしく語り掛けるようです。
コロナ禍の今、
ライフスタイルや家に対する価値観は大きく変化しています。
そんな中、庭と建築をテーマにした作品集ができたことは、
何か不思議な縁を感じます。
書店にお出かけの際は、手にとって、感じていただけたらと思います。
『囲い庭の家』の地鎮祭に行ってきました。
「地鎮祭」は、家の工事に先立ち、
その土地の神様に、その土地を使用するお許しをいただき、
工事中の安全と、完成した家の繁栄を願うための儀式です。
その起源は古く、「日本書記」にも記述が残っているのだとか、、。
当日はあいにくの雨模様でしたが、
建て主ご家族の笑顔がこぼれる素敵な一日となりました。
「家づくり」も大きな節目を迎え、いよいよ着工です。
今から春の竣工が楽しみです。
設計者が「鎌」、施主が「鍬」、施工者が「鍬」を手に持ち、順に盛砂に作業する仕草をします
玉串拝礼:参列者が順番に玉串を捧げ、お祈りをします
工務店さんの資材工場には、時間をかけて自然乾燥された木材が、大量にストックされています
琵琶湖の南西、比叡山の麓に位置する『円城寺』に行ってきました。
『園城寺』は一般的に『三井寺』の名で、
古い歴史と文化財、また、数多くの伝説が残る寺として知られています。
「一切経堂」と呼ばれる禅宗様のお堂の中央には、
経典が納められた回転式の「八角輪蔵」があります。
暗がりの室内に足を踏み入れた瞬間、
あまりの巨大さと、おびただしい数の箱に、
一瞬、これは何だろう、、。と戸惑いながら、
寂びた柱や梁が、仏教の歴史の深さと尊さを語りかけているようでした。
今回もう一つ見学したかった「光浄院客殿」は、
残念ながら、特別拝観を中止されていましたので、
是非、また訪れたいと思います。
『上越 春日山の家』の打ち合わせに、
新潟・上越高田に行ってきました。
今回の打ち合わせは、
作成した1/100模型を実際の建築予定地に持っていきました。
窓から見える景色なども確認しながら進めることができるので、
実際に暮らし始めたときのイメージがしやすく、
充実した打ち合わせとなりました。
打ち合わせの終わりには、
またまた美味しい新潟の海の幸をご馳走になり、
お腹も充実した、しあわせな夜になりました。
作成した模型の写真は近日、WORKSにてUPする予定ですので、
よろしければ、またご覧ください。
鯛やハマチなど、今回も美味しいお刺身をたくさんいただきました
学生の頃から好きだった、清家清の代表作のひとつ
『豊雲記念館』のある『盛花記念センター』が、
この春、閉館されると聞き、閉館記念展に行ってきました。
『豊雲記念館』には、
華道小原流の三世家元である小原豊雲の再現作品とともに、
小原豊雲の美術コレクションが展示されています。
山の傾斜地を利用した広い敷地内には、
『豊雲会館』のほか、『旧家元会館』、『盛花記念館』など
小原流の建築が点在しています。
どの建物も傾斜のある敷地と一体化しながらも、それぞれに存在感があり、
それでいて、全体が絶妙なバランスでデザインされていて、
空間にもたつきや、よどみがありません。
なにより、小原豊雲の理想にどこまでもこたえようとした
建築家の思いが伝わってきます。
なにか、建築家が目指すひとつの答えを教えてもらったような、、
そんな気がしました。
「華道家・小原豊雲」と「建築家・清家清」という
二人の奇才だからこそ生まれた、
唯一無二のこの世界がなくなってしまうのは、なんとも惜しい。
昭和の名建築がまたひとつ消えていくことが、本当に残念でなりません。
今はただ、何かのかたちで、
この作品がこれからも存在してくれることを、願うばかりです。
山の傾斜に埋もれるようにつくられた『盛花記念館』から屋上庭園を望む
42歳という若さで亡くなられた四世家元・小原夏樹さんのインタビュー記事には、
苦悩しながらも、華道にどこまでも真摯に向かい合う姿勢に、心打たれました
先日、『兄の家』の二年点検に行ってきました。
久々の『兄の家』は、新緑が庭を覆い、
家のなかも、すっかりこの家での生活に落ち着いた様子。
手づくりの薪棚も、一年点検のときから、数を増やし、
子どもたちと一緒に割った薪が、
軒下にたっぷりと積み上げられていました。
薪ストーブが、兄家族にとって、
寒い冬の拠り所になっているのが窺えます。
また、昨年には薪ストーブのメンテナンス講習も受け、
年に一度の煙突掃除も建て主である兄、自ら挑戦するそうです。
便利な世の中で暮らす現代人にとって、
薪ストーブのあるくらしは、決して便利なことばかりとは言えませんが、
火のある暮らしを積極的に楽しみ、
手間をかけることも、家族で愉しんでもらえていることが
嬉しく思います。
軒下に積まれた薪は、風よけになると同時に、北風で薪が良く乾く効果もあります