地下庭から地上を見上げる
「彼女の小さな家」の現場監理に行ってきました。
晴れ渡る空の下、流れる汗をぬぐいながら、職人さんが丁寧に瓦を葺いてくれました。
近年の地震対策として、全ての瓦をビスと釘で止めつけます。
また、今回はむくりのついた屋根のため、瓦を削りながら、むくりに擦り合わせて、一枚一枚取り付けます。
大工さんは、破風と呼ばれる屋根の側面を守る板に、屋根を軽やかに見せる加工を行い、作ってくれました。
「温故創新」どのような佇まいになるか楽しみです。
「彼女の小さな家」の現場監理に行ってきました。
リビング天井の仕上げの板が張り終わり、室内の雰囲気がでてきました。
今回は「ピーラー」という、松の柾目の板材を採用しています。
経年変化が美しく、時間とともに琥珀色へ変わります。
時間の流れとともに、人も建物も変化し、一緒に年を重ねます。
家は、住まい手の人生に寄り添う存在であって欲しいと願っています。
ホームページに「MODEL AND SKETCH」に、新しく木造平屋建て2階建ての家の模型を追加しました。
こちらは「高床の家」の初期案の模型で、ゆったとした農村の風景に沿った水平ラインの美しい佇まいになっていますので、よろしければ、ご覧ください。
ホームページに「MODEL AND SKETCH」に、新しく2階建てのコートハウスの模型を追加しました。
こちらは「囲い庭の家」の初期案の模型で、平屋建てのコートハウスとは、また違った雰囲気となっておりますので、よろしければ、ご覧ください。
「地上と地下に庭のある家」のソファ サンプルを見に、いつもお世話になっている興石さんへ行ってきました。
ソファの座り心地を事前に確認するため、作っていただいたサンプルをもとに、クッションの厚みや硬さのほか、高さや奥行きなどを実際に座っていただき、確認していきます。
クッションの張地も、カーペットや他のインテリアとの調和を考えて、張地サンプルを見ながら、選んでいきます。
世界にひとつだけのソファが、どんなソファに仕上がるのか、今から楽しみです。
打ち合わせ後に、現場によると、ブラックチェリーの床材が張られていました。大工さんの丁寧な仕事ぶりが窺える美しい仕上がりに、建て主ご家族も大変喜んでいらっしゃいました。
工事はこの後、室内の建具枠に移ります。
ここから少しずつ、室内の雰囲気が出来上がっていきます。
「地上と地下に庭のある家」の煙突がたち、薪ストーブが搬入されたとの報告を受け、胸を膨らませて、現場に行ってきました。
この家では、地上と地下にそれぞれ薪ストーブを計画していますので、煙突が二本立ちます。高さの違う二本の煙突が立ち並ぶ姿は、親子のようで、どこか愛らしい雰囲気があります。
現場は、外壁の左官工事が進み、雨仕舞を重点的に監理してきました。
近年の豪雨を想定して、注意深く、確認していきます。
大工さんの強化プラスターボード二重張りの闘いは、未だ続いており、「木造1時間耐火」の防火被覆の作業量の大きさに、防火地域での計画に対する今後の課題を痛感しています。
汗を拭いながら、根気よく一枚一枚、丁寧に張る大工さんに敬意を表します。
やはり大工さんや職人さんは、凄いです。
背の低い方が地下室、高い方が1階リビングの煙突になります。
屋根のむくりの打ち合わせに現場に行ってきました。
この家の急勾配の屋根には、「むくり」という、数寄屋づくりでみられる屋根を少し膨らませて、軒先の雨水の切れを良くする手法ですが、屋根の印象としても、柔らかさを与え、軽やかな佇まいとなります。
むくり屋根の傑作は、「桂離宮」ですが、今回の家は、前後の屋根の勾配が違い、さらに正面は45度の急勾配の「切妻造」となる特殊な屋根形状となっています。この特殊な屋根に近い作品として、45度の急勾配で「むくり」を付けている建物に、高須賀晋さんが設計した「龍雲院白山道場」があります。この二つの建物を参考に設計をしました。
今回の「むくり」の高さは、大工さんの計らいで実際に現場で垂木を曲げて決めることになり、垂木の下に楔を打ち、少しずつ高さを変えて、その都度、屋根の雰囲気を確認します。
悩みに悩んで、決断をしました。
どのような屋根になるか、楽しみです。
垂木の下に楔を入れて、垂木を曲げてむくりの高さを調整している様子
「地上と地下に庭のある家」のカウンター材や手摺などの造作材選びに、京北山間の竹内工務店さんの倉庫に行ってきました。
竹内さんのお取り計らいで、師匠である横内敏人先生のプロジェクトの材料選定とご一緒させていただきました。
私もメジャーを片手に、先生の材料選定にもお手伝いさせていただき、久しぶりに修業時代を思い出しました。
選定後、私の図面を先生に見ていただきました。
図面を見てもらうのは10年ぶりでしたので、緊張しましたが、とても懐かしく、楽しい時間となりました。
帰り際には、先生から「完成したら見せてね。」と笑顔で言われ、約束して別れました。
「地上と地下に庭のある家」の工事は、造作材の加工に入ります。
材料の選定をする、横内先生と竹内社長
京都の東山にある「河井寛次郎 記念館」に行ってきました。
陶芸家である河井寛次郎自身が設計したこの建物は、実際に家族とともに暮らした自宅と工房を、河井さんのご家族やご子孫が、記念館として残されたものです。
記念館には、実際に使われていた登り窯から、調度品までが保存されており、当時の創作のようすや暮らしぶりが、窺えます。
また、河井さんは、陶芸のほか、彫刻や書などでも多くの作品を残されていますが、家具や照明器具などのデザインも手掛けています。いずれもどこか縄文的な親和性を帯びていて、優しく語りかけるようです。
建物は「町屋造り」となりますが、敷地の中央に広く明るい中庭があり、中庭を中心に住宅の各居室や工房や窯の位置が、部屋の用途と方位に合わせて整然と美しく配置されています。
二階建ての住居棟は、居間の吹き抜けを中心に部屋が配置され、寝室は開放的で中庭を見降ろせる気持ちの良い部屋となっていました。
また、洗面所など至る所には小さな収納が設けられ、暮らしに寄り添った家だと感じました。
銘木や高級な材料はあまり用いず、古材や職人の手仕事の刃物の跡をあえてデザインとして残すなど、河井さんの物づくり哲学や人間らしい優しさ、温もりを感じます。
「家は住まい手を表す」という言葉がありますが、この家は、まさに河井さんそのもののように感じました。
実際に使用されていた登り窯
母屋2階の上段の間
登り窯のすぐ横には、中庭に面した二畳ほどの部屋があり、ここで瞑想をしたりしていたそうです。
『彼女の小さな家』の配筋検査に行ってきました。
鉄筋の本数・太さ・定着などを、監督さんや職人さんと一緒に、一つ一つ丁寧に1時間半ほどかけて、確認と調整を行いました。
次の工程は、一回目のコンクリートの打設を行い、家屋内側の型枠を建て、土台や柱を基礎に固定する金物の設置工事に移ります。
当日は、瑕疵担保保険の検査も受けました
全景
設備配管と鉄筋の取り合いの調整の様子
配筋の様子
『地上と地下に庭のある家』の現場監理に行ってきました。
現場は、外壁と軒裏の防火被覆材の「耐火ボード」が張り終わり、下地工事へと移っていました。
今回の建物は、木造での「一時間耐火建築物」となります。
そのため、柱や梁などの構造材は、すべて「耐火ボード」で囲います。
外周部に使った「耐火ボード」は、大きさ60㎝×182㎝、厚み2.1㎝、一枚の重さは18キロ、それを二重に重ね張りし、総枚数は730枚にのぼりました。
この重労働を大工さん二人で張り終えたとのことで、驚くばかりです。
本当にお疲れさまでした。
「耐火ボード」を張り終えて、下地工事に移った大工さん
リビングのスキップフロアの墨出しの様子
2階の子供室の様子
2階の子供室には窓が取り付けられました
大寒、フキの花咲くころ、『彼女の小さな家』の地鎮祭が、しめやかにとり行われました。
建て主をはじめ、今回施工いただく竹内工務店さんとともに、その土地の神様に、工事中の安全と、完成した家の繁栄をお祈りします。
神主さんが打つ柏手は、まるで雅楽楽器のように、冬空に美しく響きわたり、曇り空を取り払っているかのようでした。
祭事が終わるころには、曇り空も晴れわたり、暖かな光が差し込む、幸先のよいスタートとなりました。
昨年は日々の暮らしのなかで 日常が戻ってきたことを実感することが多くありましたが 事務所としても これまでゆるやかだった流れが一気に動き出す、、、
そんなことを感じる一年となりました
本年も変わらぬご支援のほど よろしくお願い申し上げます
【年末年始の休業について】
12月30日(土)~1月8日(月・祝)まで、年末年始休暇とさせていただきます。
なお、期間中のお問い合わせにつきましては、1月9日(火)より、順次ご連絡させていただきます。
『地上と地下に庭のある家』の地上部分の配筋検査に行ってきました。
地下は、型枠を外す工程に入っていました。
木造平屋部分の基礎の配筋状況
『地上と地下に庭のある家』の打ち合わせに行ってきました。
地下のコンクリートの打設も終わり、いよいよ地上の工事に移ります。
打設を終えた地下庭とガレージの屋根
『地上と地下に庭のある家』の床の配筋検査に行ってきました。
地階は、一階床と壁の型枠が建てられ、多くの支柱が立ち並ぶ不思議な
光景ですが、この無数にある支柱たちは、これから、大量のコンクリートを流し、固まるまでの間、コンクリートを支える重要な役割を担っています。
1階 床の様子
地下庭の様子
地下へと続く階段
『地上と地下に庭のある家』の地下室の壁の配筋検査に行ってきました。
壁の鉄筋が組みあがると、地下の雰囲気が出てきました。
徐々に建物全体の雰囲気がみえてくるので、楽しみです。
『地上と地下に庭のある家』
地階基礎のコンクリート打設により、現場に行ってきました。
受け入れ検査を行い、無事に打設に移りました。
夏日のコンクリートは、気温が高いので品質を保つのが難しくなります。
次は、地階の壁の配筋に移ります。
打設の様子
お盆休みを前に、地下室の基礎配筋が終盤に近づいたので、『地上と地下に庭のある家』の現場に行ってきました。
綺麗に組まれた鉄筋は、美しく、品質の高さを感じます。
今回の基本構造は、『入れ子』構造です。
お重箱やロシアの民芸品『マトリョーシカ』のイメージで、元々あった地下室の壁と床の内側に、ピッタリ同じ形の構造を作り、安全を確保します。
地下室全景:地下の外周部は、既存の土留め壁を撤去せずに、内側に新しい壁を作ります。
また、鉄筋の下に見えるコンクリートも、元の地下室の床をそのまま利用して作っています。
4年ぶりの通常開催された祇園祭に行ってきました。
多くの観光客の中、海外の方の浴衣姿も多く見られ、皆さんそれぞれに、京都の夏の風物詩を楽しまれていました。
また、交差点には交通整理の方が立たれ、ボランティアの方たちによるゴミ捨て場も各所に設置されていて、安全に気持ちよく過ごすことができました。
久々の賑わいに、コロナ前の日常が戻ってきたようで、嬉しく思いました。
京都にようやく夏が訪れました。
「くじ取らず」の鉾として、常に山鉾巡行の先頭を進む「長刀鉾」
『高床の家』の建て主さんより、「水面が見えなくなるほど、稲が育ちました」と写真を送っていただきました。
青々と育った稲穂に、生命力を感じます。
季節と共に移り替わる水田の風景を楽しんでいらっしゃることが、何より嬉しいです。
実りの秋には、どのような景色に出会えるか、今から楽しみです。
田植え前の田んぼに水が張られた様子
田植え直後の様子
稲が成長して青一色となった青田の様子
6月19日発売の「住宅建築」500号 にて、『高床の家』が紹介されました。
今回紹介された作品は、「雪害」に対応した住まいです。
近年、10年間で800人を超える方が、「雪害」により命を落とされており、けが人を含むと、さらに多くの方が被害に遭われています。
『高床の家』では、建築的な手法や工夫を凝らすことで、「雪下ろし、雪かき、雪囲い」といった雪国での重労働を取り除き、家を傷める「雪庇、結露」などの対策も試みています。
また、近年多くの方が、台風や集中豪雨、土砂災害などの「水害」に遭われていますが、『高床の家』の1階部分を木造から鉄筋コンクリート造に変えることで、河川沿いや高潮のおそれのある沿岸部の家にも、適応できると思っています。
家づくりの参考に、少しでもお役にたてれば、幸いです。
高床式住宅に近似した佇まい。
1階のピロティ部分は駐車場、室内は玄関と倉庫のみとし、居住スペースはすべて2階に配置している。
雪が積もった時の断面イメージ
雪下ろしの基準を記載した表示板を建物に据えつけます
下鴨神社の「糺の森」にある「方丈庵」に行ってきました。
実際に建てられたのは、京都市伏見区の山の中ですが、現在は下鴨神社の糺の森の一角に復元されています。
私の敬愛する鴨長明は、この5帖程の小さな庵で晩年を過ごし、『方丈記』を書き残したとされています。
この「方丈庵」は、今でいうところのミニマリストの「最小限住宅」です。
森の中でひっそりと、本当の豊かさとは何なのかを問いかけているようでした。
糺の森の中に建つ「方丈庵」
大阪府豊中市にある「日本民家集落博物館」に、友人と行ってきました。
北は岩手、南は奄美大島まで、12棟の民家や倉庫、門などが移築されており、自然の広い敷地の中で、ゆったりと見学することができます。
この博物館の最大の特徴は、違う地域の民家を、一度に見比べることができることです。
北国の民家と南国の民家では、大きく異なります。
民家は、周りの環境や生業にあわせて、家の姿や形が変わり、地域の文化や伝統が、家の形として現れます。
民家は、人間が生き抜くための先人の知恵の塊です。
当時は、電気もガスも水道もなく、そのころの暮らしに想いをはせると、生きることの厳しさを感じます。
先人の暮らしの過酷さと、たくましさに触れる貴重な機会になり、民家の力強い佇まいは、当時の暮らしを無言で語りかけるようです。
民家は過去のものではなく、現代の暮らしにも役立つ知恵が詰まっていると私は思います。
民家の室内の様子。窓の少ない民家は、室内が暗く感じます。
磨き込まれた床に庭の光が反射し、幻想的な空間でした。
河内布施の長屋門(大阪府)
日向椎葉の民家(宮崎県)
信濃秋山の民家(長野県)
大和十津川の民家(奈良県)
越前敦賀の民家(福井県)
吉武聖建築設計事務所のInstagramを開設しました。
竣工写真や、事務所での日常など、
少しずつですが、ご紹介できたらと思います。
建築家 阿部 勤さんの訃報を聞いたのは、2月のことでした。
昨秋、自邸の作品集が出版されたのを思い出し、
すぐに本屋さんへと走りました。
奇しくもその本は、
阿部さんの人生を振り返り、自邸50年の軌跡をまとめた本でした。
生い立ちから、家づくりの秘話、
住まいぶりや近所の子どもたちの噂話まで書かれており、
阿部さんのお人柄が本から伝わってきます。
藤塚光政さんが撮られた写真は、
阿部さんの家の「生活の匂い」まで捕らえています。
特に、表紙の書斎の写真は、
席を外した阿部さんが、今にも飲み物を片手に戻ってきそうで、
阿部さんが写った写真では、思わず涙がこぼれました。
18年前、ご縁があり、
ご自宅で、手料理を振舞っていただいたことがありますが、
気さくで優しいお人柄で、
ご自宅の説明やプライベートな質問にも快く応えてくれました。
お気に入りのノラ・ジョーンズが、途切れることなく流れ、
終電を逃すほど、居心地が良かったことを覚えています。
この本は、阿部さんのお人柄をうつしたように
多くの図面とともに、手書きのパースやスケッチを用いて
やさしく説明されています。
また、丁寧な構成や文体などから、
編集者の皆さんの阿部さんへの愛情も感じました。
どなたでも名作の秘密に迫れる素晴らしい本ですので、
多くの方に読んでいただけたら、嬉しく思います。
ノラ・ジョーンズを聴きながら、是非。
『高床の家』の建て主さんが、
「田植えが終わりました。これから、毎日、稲の成長が楽しみです。」と
リビングから撮った写真を送ってくださいました。
日々の生活のなかで、
季節の移ろいや里山の風景を楽しみながら、
暮らしていただけているのが、何より嬉しく思います。
水田の水鏡に映し出せる「逆さ春日山」
3月の雪解けを待って、
『高床の家』の造園工事に行ってきました。
2階リビングから桜を楽しんでいただけるよう、
目線の高さに合わせて、桜を4本植えました。
新潟県の桜の開花は4月上旬とのことですが、
どんな景色をみせてくれるのか、今から開花が楽しみです。
植え込みの様子
『高床の家』の植栽選定に信州・松本に行ってきました。
今回は、2階の窓からお花見ができるように、
枝の高さや枝ぶりも考えて、選定します。
次は、半月後、この桜を上越に植え込みに行きます。
『高床の家』にあう、力強い桜を見つけました
雪景色の『高床の家』を、
写真家の畑拓さんに撮影していただきました。
雪国の天気は変わりやすいのですが、
天候にも恵まれ、無事撮影することができました。
リビングの窓から望む里山の雪景色は、
思わず息を飲む美しさで、
春には水鏡、夏には風になびく稲の波、
実りの秋には、黄金色の稲穂の絨毯が広がり、
これから、四季折々どんな景色を見せてくれるか楽しみです。
また、お引渡しから1か月ほどでしたが、
玄関には一輪挿しが飾られ、
テラスにはアウトドアチェア、
薪ストーブの周りには、ファイヤーツールが置かれていました。
この家での生活を愉しみながら、
大切に暮らされているのが、何より嬉しかったです。
雪吹雪くなか、撮影のタイミングを待つ様子
ピロティ撮影の様子
外観撮影の様子
一瞬の光を捕えようと、
じっとカメラを構える畑拓さん
書斎コーナー撮影の様子
和室撮影の様子
沢の水も凍ってしまうころ、
十年に一度といわれる寒波が訪れました。
一晩で京都の町は、雪に閉ざされ、静寂の朝を迎えました。
新年あけましておめでとうございます
昨年末は事務所設立以来、一番忙しい年末となり、
その忙しさをそのままに、年明けを迎える形となりました。
おかげさまで、事務所としても大きく動いた一年となりました。
この流れを大切に、もう一歩成長できるよう、
手を休めず、誠実に設計し続けたいと思います。
本年もよろしくお願い申し上げます。
お正月には、下鴨神社の鳥居に、榊が結ばれています。
建物が完成したとの報告を受け、
新潟の『高床の家』に行ってきました。
家が完成すると、建築主へのお引渡しの前に、
まず、設計者による設計検査を行います。
設計検査は、建築主に安心して、
引き渡しを受けていただく為にも、
大切な検査だと考えています。
検査では、現場監督さんや職人さんと一緒に、
一つ一つ丁寧に確認を行い、
不具合がある場合には、
一緒に対策を考え、是正工事を行います。
現場監督さんや職人さんのご協力により、
とても品質の高い家ができていました。
是正工事が終わったら、いよいよ引き渡しです。
厳しい雪国の暮らしのなかで、暖かい灯がともる
ピロティから見る雪景色
リビングのコーナー窓からは、一面の雪景色が広がる
凛とした冬空のもと、
地鎮祭が厳かに執り行われました。
この家は、敷地の法律的な制限が厳しく、
さらに3.6mの高低差と、解体できない擁壁もあり、
修業時代にも経験したのことない、とても難しい設計となりました。
今まで培った知識だけでは、設計が叶わず、
新たに勉強しては設計し、新たに勉強しては描き直し、
長い時間がかかってしまいました。
その間、私を信じ、設計を預けてくださった建築主ご家族と、
ようやくこの日を迎えることができ、
式典の挨拶では、これまでの想いに、自然と涙が溢れました。
この日は 冬至でしたが、
冬至はこの日を境に日照時間が延びていくことから、
陰の気が弱まり、陽の気に向かう折り返し地点と考えられていたそうです。
この考えは『一陽来復』(いちようらいふく)といわれ、
長い設計期間が終わり、工事着工を迎える門出に
ふさわしい一日になりました。
祝詞奏上:神主さんが工事を祈り、祝詞を奏上します
鍬入れの議:建築主が鍬を持ち、鍬で盛砂を掘ります。
凛とした空気に包まれながら、静かに地鎮祭が執り行われました
木工事が終盤を迎えたとのことで、
『高床の家』の品質監理に、新潟に行ってきました。
里山の季節は、前回のトンボが飛び交う小春日和とは一変して、
横なぐりの風と雨で気温は下がり、雪国の厳しい冬の訪れを感じます。
現場では、外部の足場も外され、
大工さんが押入などの棚板を加工し、木工事も終わりを迎えていました。
季節の移り変わりとともに、工事もいよいよ最終段階へと移ります。
ピロティ部分
外からリビング窓を見る
軒先をしたから見上げる
ピロティの天井も張られました
棚板を加工する大工さんの向こうには、里山の景色が広がる。
クローゼットからサンルームを見る
押入棚を作る若い大工さん
暖かな秋晴れ、『高床の家』の品質監理に、上越に行ってきました。
現場は順調に進み、外部周りの仕事へ進んでいました。
建築業界も高齢化が進んでいるといわれていますが、
現場には、20代の若い職人さんの姿が多く見受けられ、
活気のある現場でした。
電気や水道関係の配線、配管工事も中盤に差し掛かり、
工事は次の段階に移ろうとしています。
大きく張り出した屋根が、美しく、足場が取れるのが楽しみです。
野花とリビングの窓
水田からの外観
屋根の上から見る春日山城跡
軒裏と外壁
ピロティの設備配管
ピロティの倉庫部分
ガラス取り付けの様子
小雨が降る秋、
『高床の家』の上棟式がとり行われました。
コロナによるウッドショックやウクライナ情勢、
物価の高騰など、
度重なる未曾有の災害の影響を受け、
何度も何度も、設計の見直しや見積調整を行い、
ようやく上棟までたどり着くことができました。
上棟式での挨拶では、
建築主からこれまでの苦難を乗り越えた想いや感謝の言葉に、
思わず目頭が熱くなりました。
くしくも上棟日は、私の誕生日で、
最高のプレゼントとなりました。
建築主のご家族の皆さま、
本当におめでとうございました。
上棟式の様子
建物の全景
ピロティ部分
LDKの様子
小屋裏通気口
節のない良材の破風板
屋根の様子
『高床の家』の材料検査に、行ってきました。
こちらの建物は、もともと小学校の体育館だったそうで、
天井には、木組みのトラスが高密に配置されています。
雪国らしい重厚で、ダイナミックな建築は、まさに圧巻です。
木材の材料検査では、
樹種や使用箇所の確認、含水量などの測定を行い、
品質も併せて確認します。
材料検査の後には、基礎の金物検査も行いました。
監理が行き届いた丁寧な現場に、
職人さんも気持ちの良い方たちばかりで、
ますます完成が楽しみになりました。
稲刈りが終わり、里山の風景も秋の装いに変わり始めています。
来月はいよいよ上棟です。
梁には、もともと小学校の体育館だった面影が残っています。
上越の川住材木店さんが、
良材を揃えてくださいました
大工さんと相談しながら、
化粧柱の配置を決めます。
含水量の測定も行います。
基礎工事の様子
アンカーボルトが適切に設置されているか確認します。
基礎幅のチェックも
行います。
『高床の家』の配筋検査に行ってきました。
きれいに組まれた鉄筋は、非常に丈夫で、美しく、
丁寧な仕事が伝わってきます。
配筋検査の後は、
上棟に先立って、プレカットの打ち合わせもしてきました。
来週は、いよいよコンクリートの打設が始まり、
上棟に向けて、準備が整いつつあります。
雪国の家らしい、強靭な構造の木造住宅ができていきます。
きれいに組まれた鉄筋
配筋検査では、構造事務所の設計者さんと一緒に
検査していきます。
コンクリートの仕上がり高さや勾配も、
丁寧に糸を張り、念入りに打設準備をします。
配筋検査の後には、現場監督さんや大工さんなどと一緒に、
今後の工事計画について話し合いました。
四方祓い:敷地の四隅に米やお酒をまいて、お清めをします
玉串拝礼:建築主から順番に、設計者や施工者が玉串を捧げ、お祈りをします
不安定な天気が続いていましたが、この日は夏空の広がるいいお天気になりました
京都市内にある「狸谷山不動院」に、お礼参りに行ってきました。
山の中にある本堂の奥には洞窟があり、
もともと洞窟の岩肌部分に、不動明王像を安置したのが始まりだとか、、。
その後、その洞窟を覆うように、お堂が建てられた珍しいお寺です。
ご本尊の咤怒鬼(たぬき)不動明王は、
その名のとおり、直視するのがためらうほどの眼力で、
えもいわれぬパワーを感じます。
古くから修験道の寺院として知られているだけに、
本堂までの道はハードですが、どこか不思議な空気感のあるお寺でした。
山から迫り出すように建てられた「懸崖造り」(かけづくり)の本堂は、
木組みの上にたっています。
250段の石段の始まりには、たくさんの狸の置物が出迎えてくれる
「懸崖造り」は「舞台造り」とも呼ばれ、清水寺の舞台と同じ作りになっている。
本堂からは山の間から京都市内が一望できる
山頂まで約550m参道には、杉や桧が生い茂る
今年も吉田神社に、古札を納めに行ってきました。
昨年は露店や祭事もなく、少し寂しい「節分祭」でしたが、
今年は露店も出店され、例年ほどの賑わいはないものの、
参拝される方も増えていました。
今年は残念ながら中止となってしまった「追儺式」は、
「鬼やらい」と呼ばれ、
古くは1300年程前の文武天皇の時代に、
様々な疫病が流行った際に始められた儀式だそうです。
コロナという邪気が祓われ、
一日も早い収束と、平常の暮らしに戻ることを
八百万の神々に祈りながら、
今年も急いで家路につきました。
あけましておめでとうございます。
昨年は、家族と自宅で過ごすなかで、
あらためて、住まいや日々の暮らしを見つめ直すことも多く、、
少しずつですが、暮らしを整える一年となりました。
誰もが不安や不便を感じる今だからこそ、
これまで以上に、住まい手の暮らしに寄り添い、
心安らげる場所を設計し続けていきたいと思います。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
初詣 / 下鴨神社
『囲い庭の家』の造園を手掛けていただいた
厚生労働省より贈られる【現代の名工】(卓越した技能者) に選ばれました。
愛媛新聞社とテレビ愛媛でも取り上げられ、
テレビ愛媛では、『囲い庭の家』の写真も紹介されました。
越智さん、本当におめでとうございます!
「愛媛新聞」より
『囲い庭の家』の竣工写真をWORKSに掲載いたしました。
この住宅は、緑豊かな中庭を、
平屋建ての建物で囲んだコートハウスの作品です。
寝室などのプライベートスペースも一階にあり、
すべての部屋から、中庭を楽しむことができます。
また、太陽の動きに合わせて、
時間の流れとともに日の当たる部屋が移り変わり、
中庭を通した風や木漏れ日が、室内を美しく演出します。
ご覧いただけましたら、幸いです。
撮影していただきました。
今回の撮影では、
コートハウス形式でも、建物の全体像がわかるよう
ドローンによる鳥瞰写真もお願いしました。
ドローン撮影では、
音をたてて空中に舞い上がるドローンに、
子どもも大人も興奮し、
タブレットに映る鳥瞰写真に、みんなで感嘆の声をあげながら、
想い出に残る楽しい撮影となりました。
建て主のご家族の皆さまには、
引越しからあまり時間もないなか、
床の間やリビングを美しくしつらえていただいたり、
休憩時間に鞆の浦をご案内いただいたり、、と
長い時間、撮影にご協力いただきまして、本当にありがとうございました。
また、撮影日には、造園家の越智將人さんご夫妻や、
現場監督さんご夫妻もお越しいただき、
思いがけず、この作品に携わっていただいたご家族の皆さまにも
ご覧いただけて、本当に嬉しかったです。
撮影の様子
『囲い庭の家』が完成し、引渡しを迎えることができました。
建築主のご家族の皆さまをはじめ、
施工を担当してくださった「ホーム株式会社」の角田社長、
現場監督さんや大工さん、
造園工事をお願いした「創造園」越智將人さん、、、
工事に携わっていただいた皆さんに喜んでいただけたことは、
設計者として、この上ない幸せを感じています。
また、造園家の越智將人さんとは、
10年前、専門誌で作品を拝見して以来、
「いつかお仕事をご一緒できたら、、。」と思っていたので、
長年の願いが叶い、お仕事をご一緒できたことは、
大変貴重な経験となりました。
多くのご縁に恵まれ、
みんなで協力して、一つの家をつくっていく、、、
あらためて『ものづくり』の楽しさや充実感を感じました。
携わっていただいた皆さんに、心より感謝申し上げます。
後日、写真を撮影し、HPで紹介いたしますので、
また、ご覧いただけたら嬉しく思います。
『囲い庭の家』の現場監理に行ってきました。
屋根工事や外壁の左官工事が終わったので、
監督さん立会いのもと、検査を行います。
外壁の左官工事では、
職人さんの技術力の高さが光る仕上がりに驚きました。
来週からは、いよいよ外壁の塗装工事が始まり、
これで外観がほぼ整います。
内部は、断熱材工事が終わり、少しずつ室内の雰囲気が出来てきました。
また、検査後に行ったロールスクリーンの打ち合わせでは、
修業時代からお世話になっている業者さんが、
大阪から職人さんを連れて、車で福山まで来てくれました。
久々に会うことができて、嬉しかったです。
ロールスクリーンの打合せの様子
屋根から見た中庭
屋根完成
軒先の様子
技術力の高さが光る左官工事
リビングの様子:壁には断熱材が綺麗に敷き詰められています
『囲い庭の家』の唐紙選びに、
京都修学院の「唐長」さんへ行ってきました。
「唐長」さんは、江戸時代から唐紙を作り、
約400年続く日本唯一の唐紙屋さんです。
今もその伝統を守り続け、二条城や桂離宮をはじめ、
多くの重要文化財保存にも尽力されています。
今回は、11代目当主に、唐紙選びにご協力いただきました。
唐紙選びは、光の入り具合により柄の見え方が変わりますので、
完成をイメージしながら、建て主さんと一緒に選んでいきます。
貴重な作業場や、先祖代々受け継がれる大切な版木なども見せていただき、
歴史の重みや日本の伝統に触れる貴重な時間となりました。
建て主さんも、今から和室の完成を楽しみにされていました。
作業場にて実際の唐紙を見せていただきました
数多くの唐紙から候補を選び
数点に絞りました
作業場の様子
600枚以上に及ぶ版木が保存される
幾度の大火から、
奇跡的に守られた江戸時代の版木
吉田神社に古札を納めに行ってきました。
今年の節分祭は、露店や祭事などもなく、
いつになく静かに執り行われ、
参拝に来られた方々の長い時間、手を合わせる後ろ姿が印象的でした。
一日も早い収束と、穏やかな日常の訪れを祈りながら、
足早に帰路につきました。
本殿の周囲には全国の神々が祀られ、参拝者は自分のゆかりの地の神様にお祈します
早朝から雪景色が見れました。
近年では、12月に積もるのは珍しく、
街には子供たちのはしゃぎ声が響きます。
老舗の和菓子屋さんからは、小豆を煮る湯気も立ち込め、
年の瀬の気配を感じます。
左京区市内の様子
耐震に関する、筋交いの配置や金物の設置状況を確認しました。
検査合格をした後、材料検査立ち合いも行いました。
今回の材料検査では、『破風板』などの屋根廻りの材料を確認です。
発注書と図面を見ながら一つ一つ丁寧に、
寸法と節の位置なども確認します。
屋根も防水まで完成し、家の佇まいが分かるようになってきました。
屋根防水の様子
室内から中庭を望む
室内全景:梁や筋交いが取り付けられました
材料検査の様子
秋晴れの穏やかな日に、
『囲い庭の家』の上棟式がとり行われました。
今まで設計図の紙の上や模型で考えていたことが、
いよいよ形となって現れる瞬間です。
早朝より柱や梁が手順よく組み立てられ、
瞬く間に、家の形なっていくさまに、感動や高揚感を感じます。
建て主の娘さんも「私の部屋はどこ? うんていはつく?」と、
とても嬉しそうでした。
夕方には、無事に棟も上がり、上棟式が行われました。
やわらかな夕日が差し込む、美しい式典となりました。
工事を担当していただいた現場監督さんをはじめ、大工の皆さん、
長い時間、ありがとうございました。
祭壇に、工事の安全と、無事に建物が完成することを願って、お祈りをします
上棟の様子
工務店の社長さんも一日、
付き添ってくださいました
7名の大工さんが一気に棟まであげていきます
『囲い庭の家』の化粧構造材の材料検査に、
現場監督さん、大工さんと一緒に、プレカット工場に行ってきました。
まずは、柱の含水量を測定し、検品します。
その後、一本一本、節の位置や木目、木の性格を見極めながら、
図面に合わせて、柱の配置を決めていきます。
大変な作業でしたが、
帰りには、瀬戸内の美しい夕日を見ることができました。
一本一本、確認しながら、柱の配置を決めて行きます
用意されていた構造材を選り分けてもらいます
含水量を測定します
工務店さんの事務所の前には、穏やかな瀬戸内の海が広がる
『囲い庭の家』の配筋検査に行ってきました。
丁寧に編まれた鉄筋は、精度が高く、
とてもきれいな仕上がりとなっていました。
配筋検査が無事終了すると、
いよいよコンクリートの打設が始まります。
いい基礎ができそうで、完成が楽しみです。
美しく編まれた配筋は、圧巻です
補強筋の配筋状況を確認します
コンクリートを打設する様子
師である横内敏人先生から
素敵な作品集を贈っていただきました。
今回の作品集は、「庭と建築」をテーマにまとめられ、
あとがきには、これまでの人生のあゆみや、出会いなども綴られており、
本作品集は、横内先生そのもののように感じました。
「庭と建物」が一体的に切りとられた写真はどれも美しく、
写真から伝わる、木々の青さや匂いとともに、風を感じ、
ゆったりとした時間の流れを感じます。
庭と建築とを一体的に設計することで生まれる豊かな環境は、
日本人の心の奥深くにある意識に、やさしく語り掛けるようです。
コロナ禍の今、
ライフスタイルや家に対する価値観は大きく変化しています。
そんな中、庭と建築をテーマにした作品集ができたことは、
何か不思議な縁を感じます。
書店にお出かけの際は、手にとって、感じていただけたらと思います。
『NIWA HOUSE ― Houses Designed by TOSHIHITO YOKOUHI-』/ 学芸出版社
『囲い庭の家』の地鎮祭に行ってきました。
「地鎮祭」は、家の工事に先立ち、
その土地の神様に、その土地を使用するお許しをいただき、
工事中の安全と、完成した家の繁栄を願うための儀式です。
その起源は古く、「日本書記」にも記述が残っているのだとか、、。
当日はあいにくの雨模様でしたが、
建て主ご家族の笑顔がこぼれる素敵な一日となりました。
「家づくり」も大きな節目を迎え、いよいよ着工です。
今から春の竣工が楽しみです。
設計者が「鎌」、施主が「鍬」、施工者が「鍬」を手に持ち、順に盛砂に作業する仕草をします
玉串拝礼:参列者が順番に玉串を捧げ、お祈りをします
工務店さんの資材工場には、時間をかけて自然乾燥された木材が、大量にストックされています
琵琶湖の南西、比叡山の麓に位置する『円城寺』に行ってきました。
『園城寺』は一般的に『三井寺』の名で、
古い歴史と文化財、また、数多くの伝説が残る寺として知られています。
「一切経堂」と呼ばれる禅宗様のお堂の中央には、
経典が納められた回転式の「八角輪蔵」があります。
暗がりの室内に足を踏み入れた瞬間、
あまりの巨大さと、おびただしい数の箱に、
一瞬、これは何だろう、、。と戸惑いながら、
寂びた柱や梁が、仏教の歴史の深さと尊さを語りかけているようでした。
今回もう一つ見学したかった「光浄院客殿」は、
残念ながら、特別拝観を中止されていましたので、
是非、また訪れたいと思います。
「八角輪蔵」:仏教の経典を集めた「一切経」が納められ、一回転させると、
すべての経を音読したのと同じ功徳が得られるとされている。
国宝の「金堂」は、桃山時代に豊臣秀吉の正室(ねね)により再建された和様仏堂。
霊鐘堂内部には伝説で知られる、「弁慶の引き摺り鐘」が安置されています。
変事があるときは、不思議な現象がおこると伝えられ、不吉な予兆の時には、鐘は汗をかき、
撞いても鳴らず、良いことが起こると自然に鳴るといわれています。
遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
昨年からの忙しさをそのままに、
気がつけば、もう1月も半ばを過ぎてしまいました。
おかげさまで、昨年は大変忙しい一年でしたが、
多くの方々に支えられ、新しい出会いにも恵まれました。
しばらくは、この忙しい日々が続きそうですが、
手を緩めることなく、誠実に、
そして、今年は事務所としても、少しづつ整えて、
もう一歩前進できたらと思っております。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
初詣 / 下鴨神社
『上越 春日山の家』の打ち合わせに、
新潟・上越高田に行ってきました。
今回の打ち合わせは、
作成した1/100模型を実際の建築予定地に持っていきました。
窓から見える景色なども確認しながら進めることができるので、
実際に暮らし始めたときのイメージがしやすく、
充実した打ち合わせとなりました。
打ち合わせの終わりには、
またまた美味しい新潟の海の幸をご馳走になり、
お腹も充実した、しあわせな夜になりました。
作成した模型の写真は近日、WORKSにてUPする予定ですので、
よろしければ、またご覧ください。
鯛やハマチなど、今回も美味しいお刺身をたくさんいただきました
大雪でも安心な高床式プランは、建て主が大の釣り好きということから、平屋建ての雰囲気はそのままに、全体を船のイメージでまとめています
初めて食べた砂地に棲む小さなタコのから揚げは、やわらかくてとっても美味でした
学生の頃から好きだった、清家清の代表作のひとつ
『豊雲記念館』のある『盛花記念センター』が、
この春、閉館されると聞き、閉館記念展に行ってきました。
『豊雲記念館』には、
華道小原流の三世家元である小原豊雲の再現作品とともに、
小原豊雲の美術コレクションが展示されています。
山の傾斜地を利用した広い敷地内には、
『豊雲会館』のほか、『旧家元会館』、『盛花記念館』など
小原流の建築が点在しています。
どの建物も傾斜のある敷地と一体化しながらも、それぞれに存在感があり、
それでいて、全体が絶妙なバランスでデザインされていて、
空間にもたつきや、よどみがありません。
なにより、小原豊雲の理想にどこまでもこたえようとした
建築家の思いが伝わってきます。
なにか、建築家が目指すひとつの答えを教えてもらったような、、
そんな気がしました。
「華道家・小原豊雲」と「建築家・清家清」という
二人の奇才だからこそ生まれた、
唯一無二のこの世界がなくなってしまうのは、なんとも惜しい。
昭和の名建築がまたひとつ消えていくことが、本当に残念でなりません。
今はただ、何かのかたちで、
この作品がこれからも存在してくれることを、願うばかりです。
山の傾斜に埋もれるようにつくられた『盛花記念館』から屋上庭園を望む
42歳という若さで亡くなられた四世家元・小原夏樹さんのインタビュー記事には、
苦悩しながらも、華道にどこまでも真摯に向かい合う姿勢に、心打たれました
豊雲記念館の外観 / 透かし模様の陶器ブロックはやわらかな光を室内に呼び込んでいる
地元の御影石をふんだんに使った豊雲記念館の入口
どこか神秘的な空間に思わず引き込まれてしまいます
かつてアトリエだったこの部屋は、石、ガラス、鉄が絶妙なバランスで組み合わせている
先日、『兄の家』の二年点検に行ってきました。
久々の『兄の家』は、新緑が庭を覆い、
家のなかも、すっかりこの家での生活に落ち着いた様子。
手づくりの薪棚も、一年点検のときから、数を増やし、
子どもたちと一緒に割った薪が、
軒下にたっぷりと積み上げられていました。
薪ストーブが、兄家族にとって、
寒い冬の拠り所になっているのが窺えます。
また、昨年には薪ストーブのメンテナンス講習も受け、
年に一度の煙突掃除も建て主である兄、自ら挑戦するそうです。
便利な世の中で暮らす現代人にとって、
薪ストーブのあるくらしは、決して便利なことばかりとは言えませんが、
火のある暮らしを積極的に楽しみ、
手間をかけることも、家族で愉しんでもらえていることが
嬉しく思います。
軒下に積まれた薪は、風よけになると同時に、北風で薪が良く乾く効果もあります
念願の別棟の「趣味室」では、大好きなバイクいじりを存分に楽しんでいる様子でした
施工をしてくださった『エフ・ベース』さんと一緒に、一つ一つ丁寧に点検していきます
登呂遺跡に行った際、同じ登呂公園内の一角にある
『芹沢銈介美術館』にも立ち寄りました。
『芹沢銈介美術館』は、別名『石水館』とも呼ばれ、
建築家 白井晟一さんの作品として、「公共建築百選」にも選ばれています。
芹沢銈介という名前を知らずとも、暖簾や本の装丁など、
自然と目に触れていることが多い芹沢銈介の作品。
日本人らしい色づかいやモチーフを用いて、
素朴で実用的であるにもかかわらず、
どこかモダンで、今みても新鮮に映ります。
また、芹沢銈介は染色家としてだけではなく、
優れた工芸品の収集家としても知られ、
館内には芹沢銈介の作品とともに、
収集された工芸品も数多く展示されています。
工芸品の多くは、彼自身が旅先で集めた
アジアをはじめ、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ、オセアニアなど
世界各国の品々。
どの品も芹沢銈介自身が楽しみながら収集し、
いとおしんでいたのが伝わってきます。
鑑賞後には、芹沢銈介の一貫してブレない美意識と、
収集家としての卓越した審美眼に、
同じ郷里であることを誇らしく思いながら、
必ずまた訪れようと思いました。
もともとは宮城県にあった「板倉」を気にいった芹沢銈介が、自邸内に移築改築してつくられた
同じ登呂公園内にある『芹沢銈介の家』の室内には、世界中から収集された家具や工芸品があふれ、来訪者の好みに合わせて飾りつけるのが、芹沢銈介の大きな楽しみの一つになっていた
自邸を東京・蒲田から静岡に移築し、当時の雰囲気をそのままに残している
庭の樹木の一部も蒲田から移植されている
地元・静岡にある『登呂遺跡』に行ってきました。
『登呂遺跡』では、住居や高床倉庫のほか、祭殿などが復元され、
弥生時代後期の農耕文化をみることができます。
観光場所としては、決して派手さはありませんが、
先史時代の人々の知恵と建築の力強さにふれ、
先人たちに思いを馳せてたくなる場所でした。
竪穴住居内部 はシンプルなつくりながら、工夫がみられ、中央には炉が設けられている。
竪穴住居の周りには盛土され、水害から住居を守っている
ねずみ返しのついた高床倉庫
住居から少し離れた場所にある祭殿
発掘された12戸の住居、2棟の倉庫のうちの一部が再現され、当時の村の姿がうかがえる
先日、横内敏人建築設計事務所の先輩である吉川史子さんから
素敵な本を贈っていただきました。
著者は、吉川史子さんをはじめとする、
現在も子育てをしながら、建築を仕事にされている男女16名。
私自身も、子育てをしながら建築の仕事をしている身なので、
著者の皆さんが、苦労や工夫を重ねながら、
日々過ごされている様子に、反省や共感を覚えつつ、
「明日もがんばってみようかな、、」とちょっと元気をもらいました。
子育てしながら、仕事をされている方はもちろんですが、
これから結婚や子育てをされる方や
建築の道にすすもうとしている方にとっても、
リアルな将来を思い描きながら、それを乗り越えるためのヒントが
たくさん散りばめられている一冊だと思います。
書店にお出かけの際は、手に取っていただけたらと思います。
『子育てしながら建築を仕事にする / 編著:成瀬友梨』
冬の敷地の様子をみに、
お客様との打ち合わせを兼ねて、新潟・上越高田に行ってきました。
幸運にも天候に恵まれ、この日は快晴。
空気も澄んでいて、敷地から見える春日山城も、どこか凛としてみえます。
雪国ならではの環境を体感できる貴重な一日になりました。
打ち合わせでは、お客様の趣味である釣り道具を拝見させていただいたり、
夜にはこの日の為にと、
前日に釣ってきてくださったワカサギを食べながら、
ついついお酒もすすんでしまいました。
釣り好きのお客様が大切にされているリールの一部も拝見させていただきました
上越高田の雪景色
お客様が釣ってきてくださったワカサギに舌鼓を打ちながら、お酒も会話もすすみます
新年あけましておめでとうございます。
おかげさまで、当事務所も開設から3年が過ぎ、
これまで蒔いた種がすこしずつ芽吹き始めました。
今年もこれまで以上に、たくさん図面をかき、たくさん模型をつくり、
ひとつひとつ丁寧で、誠実な物づくりを続けていきたいと思います。
本年もどうぞよろしくおねがい申し上げます。
地元・静岡の港からみえるお正月の富士山
今年のクリスマスは、家族みんなでクッキーを焼き、
お菓子の家をつくりました。
子どものころ夢みた「ヘンゼルとグレーテル」のお菓子の家、
普段から模型づくりをしているので、余裕かと思いきや、
お菓子といえども「家づくり」、、、
想像以上に苦戦を強いられ、
完成するころには、想いがつまりすぎて、
食べられなくなってしまいました。
少しのあいだ飾ってから、おいしくいただきたいと思います。
みなさん、よいクリスマスをお過ごしください。
12月13日発売の「和モダン vol.10」のなかで、
「兄の家 / 中庭で守る家」が掲載されています。
創刊10周年の記念すべき号に、
師である横内敏人先生と同じ号に掲載され、
とても感慨深く、これからの設計活動の原動力となりました。
また、私の大好きな作品の一つである
藤井厚二さんの「聴竹居」をはじめ、
尊敬する建築家の方々の作品も多数掲載されています
書店にお出かけの際は、ぜひご覧ください。
「気鋭の建築家」を紹介するページで、『兄の家 / 中庭で守る家』が掲載されました
すっかり秋も深まり、事務所前の並木道も、赤や黄色に色づいています。
朝になると、歩道には紅葉した落ち葉の絨毯が敷きつめられ、
道行く子どもたちも楽しそうです。
事務所にいるときは、机かパソコンにむかっていることがほとんどですが、
ふと顔をあげると、窓の外にこの並木道の木々たちがみえます。
目の前の美しい木々をみていると、
自然と肩のチカラがぬけ、穏やな気持ちになるから不思議です。
日々の暮らしの中にも、自然の美しさや季節の移ろいが感じられる、、
狭い事務所でも、豊かさを感じるひとときです。
事務所の窓の外には桜やケヤキ、ユリノキなどの並木道がつづきます