豊田町の家 ― 内庭を持つ家 —
House in Toyodacho
敷地は、駅からほど近い線路沿いにある。
電車からの視線でプライバシーが保ちにくいうえ、深夜の貨物列車の騒音もあり、住まい手が受ける精神的負担が大きいと考えた。
そこで、プライバシーと騒音に配慮された住宅が求められたが、昼間でもカーテンや窓を閉め切るような閉鎖的な住まい方ではなく、開放的でありながら、落ち着いた住空間の実現に苦心を重ねた。
まず、プライバシーを保ちながら、開放的な暮らしを実現するために、囲われた「内庭」を設けることとした。また、納戸や食品庫など配慮の必要がない部屋を線路側に集め、寝室や団らんの場である食堂や居間は、敷地の奥へと配置した。
子育て中の若夫婦と仲睦まじい両親の二世帯が暮らすこの家は、新しくもどこか懐かしい、愛着を感じる家であってほしいと想いを込めた。
そして、内庭がもたらす四季の訪れや、深い軒で守られた縁側での夕涼みや花火、この家での何げない日々の出来事が、愛おしい家族の記憶として残ってくれることを願っている。
所在地: 静岡県磐田市
構造規模:木造2階建て
床面積: 107.83㎡
竣工:
構造設計 :高橋俊也構造建築研究所